東京電力が八日に示した発電所新設の凍結方針は、常陸那珂火力発電所が立地する東海村の財政に大きな影響を与えそうだ。村は火力発電所二機の運転開始により年間六十四億から六十六億円の固定資産税収入を見込んでいる。村の一般会計予算(約百五十億円)の四割に相当する額だ。村は「凍結された場合、相当大きな影響になり、村の財政計画の見直しが必要になる」と言う。東京電力茨城支店は「個別の発電所をどうするかは三月にまとめる設備計画の中で決定する」としている。
常陸那珂火力発電所は、常陸那珂港北ふ頭に現在建設が進められている。出力百万`hの石炭火力発電所が二機建設予定で、一号機は東京電力が一九九八年十二月に着工、二〇〇三年十二月運転開始の予定。二号機は電源開発が二〇〇〇年七月に着工、〇五年十二月に運転開始予定だ。一号機の進ちょく率は現在約二〇%。
石炭火力発電所の立地は、大気汚染の不安が住民から指摘される一方、電源三法による交付金、固定資産税など巨額の収入が地元自治体に入る。
電源三法交付金は二機分で約八十八億円。こちらはすでに二機とも着工したことから、凍結方針による影響はない。
着工から運転開始までの二〇〇〇年度から〇五年度まで六年間に地元東海村と周辺四市町に交付。交付額は東海村が約四十一億八千万円、ひたちなか市約十七億八千万円、日立市約八億四千万円、常陸太田市約八億円、那珂町約七億八千万円と、ほかに県が全体の五%の約四億四千万円。
交付金の使い道は、東海村は総合福祉センター建設費と村消防署の建て替え費の一部にあてたほか、県は信号機設置や自動車排気ガスの監視施設の設置に当てるという。
一方、固定資産税は発電所の運転開始によって課税され、ほとんどが立地する東海村の収入になる。村は一号機分の固定資産税が〇四年度から、二号機分が〇六年度から村の収入になると見込んで財政計画を立てていた。
税額は年数が経過すると減っていくが、村は当初、一機に付き、三十二億から三十三億円の収入を見込んでいるという。
村企画課は東京電力の凍結方針について「正式な話を聞いてないのでわからないが、寝耳に水。どういう運転計画になるのかわからないのでコメントしようがない」と話している。
一方、常陸那珂港建設に対する影響について県ひたちなか整備推進局は「まだ検討中という話なので影響の度合いが想定できない。港の整備には大きな影響ないと思うが状況がわからない」としている。
東京電力の新設発電所の凍結方針は、電力需要の伸びが低迷していることから、現在建設中または計画中の全国十二の発電所の運転開始時期を、三年から五年間以上凍結する方向で検討をしているというもの。
東海村のJCO臨界事故災害に絡み、県は今年秋に住民参加型原子力防災訓練を行うことを決めた。原子力施設の集中立地県では、同種の非常時対応訓練を頻繁に実施するが、茨城県では一九九一年に竹内藤男・前知事時代に一度行っただけ。旧動燃の火災・爆発事故後、JCO臨界事故後も実施されなかった。
具体的な実施時期については、JCO臨界事故災害二周年を意識し、九月三十日前後か、国の緊急事態応急対策拠点施設「オフサイトセンター」が完成した後。直後に知事選があるため、「アピール度も意識している。九月実施の公算が大きい」との声もある。
今年一月二十三日、県庁を訪れた町村隆信文部科学相にも「法律では、(防災訓練は)国がやることになってるが。オフサイトセンターは、間に合わないかもしれない。その場合はここ(県庁)をオフサイトに見立てて」と宣言。
町村文相が指揮する文部科学省は、原子力行政の一翼を担うが、訓練やオフサイトは経済産業省の担当。意欲を示す知事に対し、文相も「平沼(赴夫・経産)大臣に、よく言っておきますよ」と約束した。
訓練は、県内の原子力施設で「事故」が発生し、影響が住民に及ぶ「災害」に発展する―との前提で、「被災防止」を主眼とした緊急時対応訓練。県や地元町村、国など、関係行政機関への「通報連絡訓練」、住民らの「避難訓練」が主体となりそうだ。「発災施設」と想定した事業所では、事故の「収束訓練」も想定されるが、想定事故の
「拡大防止」 や「災害」への 「発展防止」など、「発災防止゜の措置・対策は含まれない。
県では昨年、庁内や関係者の一部に、JCO臨界事故一周年に合わせ、「実施したら」の声もあったが、「混乱する」として見送った。県内の原子力施設に対し、抜き打ちの通報連絡を行ったほか、ひたちなか市と共催で、総合防災訓練を行うに止めていた。
これに対し、東海村は事故一周年に合わせ、一部住民も加した「避難訓練」を含め、独自に防災(緊急事態対応)訓練を実施。臨界事故災害では、巻き添えを食った那珂町も、庁内の通報連絡を主に「緊急時対応訓練」を行った。
また、核燃料サイクル開発機構も、動力炉核燃料開発事業団時代に、従業員・下請作業員など三十七人の放射線被ばく、放射能汚染を出した火災・爆発事故など、相次ぐ中小の事故を反省し、国内初のシナリオなしの訓練を実施。非常時対応の習熟に努めている。
下館市は九日、今後二カ年間をかけて広域合併について多角的に調査・研究する庁内組織「市町村合併研究会」(会長・堀江日出雄助役)の初会合を開き、事務レベルの本格的な取り組みをスタートさせた。
同研究会は各部の担当部長や次長ら十八人で構成、月に一回程度、合計二十回の会合をもつ予定。十回目を終える来年度末には中間報告をまとめ、二〇〇三年度末には最終報告を冨山省三市長に提出する方針。
各回とも具体的なテーマをもって臨み、広域合併についての基礎的な調査・研究を進める。近隣市町村と合併した際のメリット、デメリットなどを多角的に検討するほか、近隣市町村との意見交換や住民アンケートを実施していくという。
第一回会合では、会長の堀江助役があいさつに立ち、国、県や筑西広域の動きなどに触れ、広域合併の取り組みは冨山市長が二期目の公約に示している重点事項でもあることを強調、参加者に実りある調査・研究を促した。
この日は、同会の設置目的や要綱、今後のスケジュールを確認したほか、国の合併特例法、県が昨秋示した合併パターン、総合振興計画策定に絡んですでに実施した住民意識調査の結果などが報告された。参加者からは編入合併や対等合併など合併の仕方などで質問があった。
県西地方では、 古河市や下妻市、総和町などで合併問題についての庁内組織が発足、事務レベルで具体的な検討が行われている。
一方、下館市と隣接する真壁郡内では筑西東部の三町村(協和町、真壁町、大和村)が岩瀬町との先行合併の動きをみせ、三月中には任意の合併協議会を立ち上げる方向。この動きから外れた同郡の明野町と関城町の対応が今後、注目されそうだ。
筑南水道企業団(つくば市春日、企業長・藤沢順一つくば市長)の元幹部職員による百億円の不正借り入れ問題で、つくば市議会の地方自治法百条に基づく調査特別委員会(百条委、慶野利文委員長)は九日、七回目の委員会を開き、証人として出頭に応じていない元幹部職員を「正当な理由のない出頭拒否」として同法に基づいて告発することを決めた。
同委員会では同日、元幹部職員とつくば市職員二人の証人喚問を予定していた。しかし、元幹部職員は一月の第四回の委員会に続いて連絡なく出頭しなかったため、全会一致で告発を決定、三月の定例市議会で議決を経て告発することになる。
これに対して市職員二人は上申書を提出、「公務員の守秘義務もあり、準備のための時間も必要」などとして、証言を求める内容を記した「尋問事項書」を事前に示すよう求めている。このため、これらの手続きを踏んだ上で、改めて二十二日の百条委で証人喚問することにした。
また、これまで二度にわたって証人として出頭要請していながら二度とも上申書を提出して出頭していない関東銀行研究学園都市支店の元支店長ら三人に対しても、二十二日に証人喚問することを決定。同委員会ではこれまでの提出された「出頭猶予を求める」上申書が「正当な出頭拒否の理由に当たらない」として回答書を作成、二十二日に証人出頭しない場合は、告発することも決めた。
一方、当初二十二日に予定していた企業団職員の証人喚問は後日の委員会で行うことにした。
諸澤常盤大学長が特別講演
全国被害者支援ネットワーク全国研修会が九日、二日間の日程で水戸市三の丸の常陽藝文センターで始まった。研修会初日のこの日は、常磐大学学長で水戸被害者援助センター副会長の諸澤英道教授による特別講演と各分野で被害者を支援している代表者による討論会が行われた。
二回目を迎える全国研修会のスローガンは「21世紀における被害者支援〜新たな展開を目指して」。
研修会の冒頭、同ネットワーク会長の山上皓氏が、「この組織が発足して八年目を迎えるが、被害者の真心を開くことから支援が始まるという原点を確かめながら取り組んでほしい」とあいさつした。続いて来賓として出席した玉井篤雄県警本部長は「県警では被害者対策についてこれまで推進してきたが、今後も支援に向けての体制、ソフトづくりをしていくので協力をお願いしたい」と述べた。
特別講演では、講師の諸澤教授から被害者が抱える問題点として、少年事件、精神障害者事件、未解決事件、加害者自殺事件のケースでは「被害者、遺族が事件の真相を知ることが出来ないまま捜査が幕を引いたり、損害賠償を請求することも不可能なことがある」と具体的な事例を挙げて説明した。
さらに諸澤教授は裁判所が被告を減刑する課程で、「裁判では被告はあくまで減刑を求めて裁判官に向かって謝罪するだけで、傍聴席に座っている被害者には頭を下げない。被害者側も『私には謝罪の言葉はない』と被害感情は癒されてはいない」と、謝罪や賠償が形がい化していることに疑問を投げ掛けた。
この後、「地域社会と被害者支援」をテーマに、警察庁犯罪被害者対策室長の安田貴彦氏の基調講演と四による討論会が行われた。研修会最終日の十日は、同ネットワーク会員を対象にした分科会が開かれる。