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2004年1月26日
緊急被ばく医療ネットワークを
JCOの原子力事故を教訓に
死者二人、被ばく者六百五十人以上…。JCO臨界事故災害を教訓に、緊急時対応を探るボランティア組織、原子力防災研究会の部会、緊急被ばく医療情報ネットワークワーキンググループ(座長、大倉久直・県立中央病院長)が昨年末、橋本知事に情報システムなどを提言した。知事も関心を寄せているようだ。東海村の村上達也村長、国の関係機関にも近く提言する。公的機関には言いにくい問題を、掘り下げた意欲的内容に、関係者間の注目を集めそうだ。
 
◆研究成果◆
 
提言のタイトルは、「原子力災害時の緊急被ばく医療ネットワーク実現に向けて」。ワーキンググループ(WG)の母体、研究会の共同代表、能澤正雄・前原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会長らの連名となっている。
 
同WGはこれまで、月一回程度の会合のほか、県医師会や県、原子力緊急時支援研修センターら、関係機関の協力を得て、関連機器の試験を含め、ボランティア組織として、異例の意欲的な取り組みを進めた。提言はその成果を盛り込んだ。
 
提言は、
 (1)総合的緊急医療と危機管理体制一元化
 (2)原子力緊急被ばく医療情報ネットワーク整備
 (3)住民広報の一つとして被ばく医療情報の広報文作成・整理
 (4)県原子力防災連絡協議会に被ばく医療ワーキンググループを常設――の四点が主眼。専用サーバーの設置も求めている。
 
◆個人情報保護◆
 
提言の主なポイントは、緊急被ばく医療ネットワーク構築だ。取り扱う情報の多くは、個々人の被ばく・治療はじめ、プライバシーに触れるため、閉鎖系システムとするよう求めている。
 
研究会は、原子力施設で事故が発生、拡大し、敷地外に危害が及ぶ災害に発展した際、緊急時対応を誤らず、より正確な情報を多くの住民、関係機関に伝えるため、一般開放の情報共有化システム、原子力防災情報ネットワークを提言。
 
県や国、東海村など関係行政庁が、趣旨を受けたシステムを検討中だが、医療情報ネットワークは、プライバシーへの配慮から、これと分離した独立システムを構想した。
 
◆常設検討機関◆
 
いざという時、よりよく対応するには、日常からの信頼関係が不可欠。お互いの顔を知り、関係を深めておくことが、緊急時のスムースな対応を生む。WGは、このための具体策として、常設検討機関を提起した。
 
知事への提言に同行した放射線医療の権威者で、放医研(放射線医学総合研究所)の被ばく医療部長兼障害臨床研究室長、明石真言医師が強く要望した点だった。具体的には、県原子力防災連絡協議会に、被ばく医療ワーキンググループを新設を求めた。
 
◆人材確保策◆
 
緊急被ばく医療は、初期医療として避難所併設の救護所、二次医療として国立水戸病院や、県立中央病院などの公的総合病院、三次医療を担当する放医研を想定する。
 
しかし、実際に事故・災害が起きると、JCO事故などの例からも、初期医療を担う人材が足りない。これを補う役割を産業医、特に原子力事業所の産業医に期待する。
 
先進各国では、原子力事業所の産業医に、専門知識と技術の習得が義務な例が多い。事故が発生し、最初に被害を受けるのは、当事者であることが多く、応急処置を含めて、技量のレベルアップを求めた。大倉座長は「資格更新の際、県で研修を義務づければいい」と強調する。
 
◆住民広報◆
 
緊急時医療のシステムには、迅速で正確な情報共有システム構築やプライバシー保護と並び、初期、二次、三次医療の連携と一体運用や、住民に安心感を与える役割も期待する。
 
特に、安心感については、▽救護所に被ばく医療情報の広報責任者配置▽県庁災害対策本部に緊急医療センター併設▽県民や医療NPOとの懇談会開催――などを提唱。住民の問い合わせ窓口や、直接間接を問わない広報、報道対応体制整備の必要性を訴えている。
 
◆背景◆
 
JCO臨界事故は、公的な評価以上に深刻だった。原子力事故としてなら、さして大きな規模ではないが、敷地外への影響は極めて大きい。原子力災害としての深刻さは、チェルノブイリ原発事故に次ぎ、史上二番目という評価もある。
 
実際、事故施設敷地外の周辺に住んだり、近くの職場で働く人たち、一時的に滞在した人の被ばく者は、国が公的に認めただけでも四百人以上。反原発・脱原子力派学者らの調査では、被害はもっと大規模、広範囲に及んだとの指摘もあるほどだ。
 
というのも、諸外国の原子力施設は、民家から五キロ前後離れている。原子力事故の場合、安全性を確保するには、事故現場から距離をとるのが一番確実。それだけ、危険性を認識した上で、住民の安全に配慮しているわけだ。
 
一方、日本はコンクリートの厚さや、整備の安全対策を前提として、市街地近くに原子力施設を作ってきた。大事故はすぐ、住民や周辺企業従業員、通りかかった人にも、危害が及ぶ可能性があり、緊急時対応(防災)、特に緊急被ばく医療が不可欠となる。
 
しかも、東海村、大洗町、那珂町など、県内に林立した原子力施設は、通常の原子力発電所や、各種実験研究用の原子炉、使用済核燃料再処理施設、プルトニウム燃料工場、ウラン燃料工場などと多種多様。それぞれに応じた防災、医療対策が要るわけだ。
 
◆異例の厚遇◆
 
提言は昨年十二月二十六日だった。出席者は大倉座長、放医研の明石被ばく医療部長ら三人。知事室には、原子力安全対策課、保健予防課などの県職員が同席。ボランティアへの異例な厚遇は、行政の期待を反映しているようだ。
 
橋本知事も、忙しい年末に時間を空け、一時間近くにわたって面談。プライバシー保護のため、専用情報システムの必要性など、提言の趣旨に理解を示しつつ、さらに具体的な掘り下げを求めた。
 
原子力防災研究会の提言は三つ目。一昨年は、市民防災マニュアルWGが、村上村長に防災カレンダー、災害新聞WGが、被災者向けの情報紙、災害新聞の発行を知事あてに提言引き出しており、緊急被ばく医療ネットについても、防災対策向上に期待が集まっている。

●ホールに響く男性歌声
常総線沿線の6合唱団、取手で合同演奏会
JR常磐線沿線男声合唱団連合会(JORDAN会、安本拓治会長)の第四回合同演奏会が二十五日、取手市の市民会館大ホールで開かれ、日ごろの練習の成果を家族や知人に披露した。
 
同会は同線沿線で活動している男声合唱団の連合体。現在、常磐ひたちメンネルコール(日立市)、アンサンブル・レオーネ(我孫子市)、シャウティング・フォックス(同)、東葛男声合唱団(松戸市)、男声合唱団フロイデ(柏市)、取手男声合唱団(取手市)と、県内と千葉県の五市六団体、約二百四十人が加盟して活動している。
 
今回は三年に一度の合同演奏会で、松戸、柏、我孫子市での開催に次いで四回目。本県での開催は初めてとなった。
 
日立市の常磐ひたちメンネルコールは野口雨情作詞の「七つの子」、熊本地方民謡の「おてもやん」、ヒット曲の「おさかな天国」をユーモラスに歌い、来場者を楽しませた。
 
地元の取手男声合唱団は「古典イタリア歌曲集」(福永陽一郎・編曲)から「アマリリ 麗し」「おお、やさしい恋人よ」などを披露し、拍手喝さいを集めていた。
 
最後に、全合唱団合同で、「美しく碧きドナウ」「ラデツキー行進曲」を高らかに歌い上げ、会場は感動に包まれていた。

●新型パト看板設置
事故抑止を期待−鉾田署−
多発する交通事故を減らそうと、鉾田署と鉾田地区安全運転管理者協議会(田嵜健司会長)が、鉾田町大竹と旭村勝下の国道51号沿い二カ所に、事故抑止力を高めた新型、改良型の「パト看板」を設置した。
 
パト看板は夜間、夜光塗料や蛍光塗料などを用い、遠くからだとパトカーに見える施設。車を運転する人なら、一度はお目にかかり、ドキッとした経験のある人もいるはずだ。県警では、ドライバーに減速を促す効果を期待する。
 
最近のパト看板は、太陽電池による充電システムで、夜間には赤色灯が点灯するため、より本物のパトカーに見えやすく、ドライバーへの注意喚起効果が高まる。
 
今回の改良点は、窓に相当する部分をくり抜いた。パト看板は大きく、交差点などでは脇道の視野を狭め、見通しが悪くなって、通行に不便だったり、事故防止にも逆効果との声もあり、問題点を解消するために発案。第一号として同地区に設置された。
 
水戸市谷津町の金属加工メーカー、カワスミ(川隅利勝社長)が開発製造した。各種交通安全施設や、ナンバープレート盗防止用の特殊ネジを開発した企業。豊かな経験からくるアイデアを生かした。
 
塩原仁署長は、「新型のパト看板で、視界も交通安全も確保していきたい」と強調。全県、全国に広がることを期待する。

科学研究の成果発表
高校生10グループ−水戸−
高校生が外部の専門家の助言などを受けて科学研究した成果を発表する「ハイスクール・アクティブ・サイエンス研究発表会」がこのほど、水戸市三の丸の県立図書館で、県立高校十校から十グループが参加して行われた。県教育委員会が昨年度から実施している事業で、高校生の科学に関する興味、関心を高めることが目的。
 
この事業は、高校生が大学の教官や研究所の研究員などからアドバイスを受けながら、科学研究、調査、発明工夫作品の製作などを行うもの。
 
牛久栄進高・理科同好会ダゲレオ研究チームは、「ダゲレオタイプと古典印画法の再現および研究」をテーマに、銀板を用いたダゲレオタイプ(銀板写真)を調査、研究、再現に取り組んだ。一八三九年に世界で初めて暗箱カメラに写った画像を固定(化学的再生)に成功した技術にチャレンジした。
 
実際にダンボールでカメラを作製し、当時の印画紙も再現。出来上がった写真を披露した。
 
生徒たちは「完成度が不十分な部分もあったが再現に成功した。失敗も多かったので写っていたときは感動した」などと満足そうだった。
 
県教育庁高校教育課では「研究の成果は通過点。見つかった課題にさらに取り組んだり、後輩が引き継ぐなど研究が将来につながるようになれば」と話している。
 
参加校は次の通り(カッコ内は研究テーマ)。
 
▽日立一高「日立市内を流れる主な川の水質の研究2」▽水戸一高「水戸周辺で採集したゾウリムシの遊泳行動と性認識行動の研究」▽水戸二高「空気望遠鏡と高性能望遠鏡で観察した火星」▽緑岡高「ハエトリソウの研究U」▽佐和高「味覚修飾物質の研究」▽鉾田一高「ワンチップマイコンを使ったロボットの製作」▽土浦二高「霞ケ浦を水源とする水道水と茨城県各地の水道水の水質の研究▽牛久栄進高「ダゲレオタイプと古典印画法の再現及び研究」▽並木高「つくばの変遷を探る」▽下妻一高「水素エネルギーのモデル化U」

●「志を持って大人が連合」
茨城キリスト教大の滝田氏が講演
責任ある大人としての自覚で子どもたちに接しよう│。時代にニーズをとらえた大学改革に取り組み、豊かな教育実践を持つ茨城キリスト教大学短大学部長兼同学園理事の滝田薫氏が二十五日、つくば市小野崎のホテルグランド東雲で「青少年と向き合う」をテーマに基調講演した。
 
国際ロータリー(RI)第2820地区(清水清ガバナー)第7分区の「ロータリーファミリー分区大会」(ホストクラブ・つくば学園RC、佐藤二郎リーダー)で、講師として招かれた。
 
滝田氏は、土浦市在住で日立港RC会員。参加した同分区RC会員ら約三百人が、指南力を失った子育てや社会の方向性についてヒントを得ていた。
 
講演で滝田氏は、日本社会がライフスタイルを含む社会システム全体で大きな転換点にあることを強調。なかでも基本となる教育が問われているとし、「教育の矛盾の象徴が短大。その改革に命がけで取り組んだ」と述べた。
 
短大改革の背景に、女性の意識変化があり、興味ある芸能界の事例を示しつつ、女性の生き方が究極のミーイズムに向かっていることを示唆。「女性の個に対する執着を、いったん毒としてのみ込まないと自立した個人が生まれない」「日本は深い孤立を経ないと、個と共同性の緊張関係を構築できない」などと指摘した。
 
難しくなっている子育ての問題でも父親の存在意義が問われているとし、「大人同士が連合して、責任ある態度を子どもたちにぶつけよう」「多元化する情報社会の中で(一元的価値観に固執しがちな)共産党と父親はどう生きていくかが問われている」など興味深い問題提起で、参加者の関心を集めた。
 
最後に大学改革での苦労にも言及。女性の意識変化をとらえ、時代のニーズに沿った短大改革を独自の手法により低予算で実現したことに触れ、「看護学部の創設では県や自治体、地元企業、病院の提携により実現した。志を持って、利益が共通できれば道が開ける」と締めくくった。


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