八潮市の悲願

初の鉄道で都心に直結
住・工共存の市街地形成

八潮市の新たな中心核となる中央地区では八潮駅の建設が進む=埼玉県八潮市大瀬
埼玉県八潮市は東京都と川を隔てた都県境の県東南部に位置し、東京都心から約十五キロと近い。常磐自動車道とつながる首都高6号三郷線が市内を縦断し、これと交差する東京外郭環状道路の三郷ジャンクション(JCT)が近くにある。市内は四つの河川に囲まれ、南北に長い。農地や住宅地のほか、町工場的な工業地が混在する。

八潮市は物流の拠点地区だが、県内四十一市の中で唯一、鉄道が走らず駅がない。都心へ直結できる、つくばエクスプレス(TX)の新駅設置は、八潮市民七万六千人の長年の悲願だ。併せて沿線開発により、新たな市の中心となる市街地形成にも大きな期待が寄せられる。

鉄道で都内へ通勤・通学する市民は現在、東武伊勢崎線草加駅や松原団地駅をはじめ、JR常磐線亀有駅や金町駅、営団地下鉄千代田線綾瀬駅などを利用する。これらの各駅までに行くにはバスに乗らなければならない。市内には幹線道路も通るため、朝夕の交通渋滞は特に激しい。

TX関連のまちづくりを担当する市南部事業推進課では、「市民アンケートでは『交通の便が悪い』との回答が多い。それだけに新駅設置に寄せる市民の期待度は大きなものがある」と話す。「現在、草加駅から秋葉原駅までは三十分かかる。それがTXだと二十分。バスの乗車時間も考えると、相当の時間短縮になる」とみている。

TXは首都高の南西を沿うような形で、市南部を走る。市内の沿線開発は埼玉県施行の西地区、都市基盤整備公団施行の中央地区、市施行の東地区で、三地区合わせた面積は約二百六十ヘクタールになる。八潮駅は中央地区に設置される。

八潮市は県内有数の金属製品を中心とした工場地帯。三地区のまちづくりキーワードには、「工房・住宅都市」が掲げられている。都心に近い立地条件と工業やモノづくりの技術的・人的な蓄積を生かしながら、「生活・暮らしと産業・仕事が共存したまちづくり」が基本だ。

中央地区では駅周辺を商業地とし、八潮市の顔にふさわしい中心市街地を目指して事業が進められる。市南部事業推進課によると、二・一ヘクタールを申し出換地による共同利用の駅街区とし、大型商業施設の誘致を都市公団に要望している。

西地区は首都高八潮ランプに隣接する条件を生かし、産業・業務や文化の拠点づくりを図る。東地区はコミュニティーの核となる拠点づくりを目指す。三地区のまちづくりは、市民参加で推進されている。

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