第3ステージのつくば市

「田園市街地」実現へ
豊富な緑の資源生かす

建設が進む高架駅の万博記念公園駅。周辺には平地林や田園が広がり、筑波山を望む=つくば市島名
全国で人口10万人以上の市は、224市(昨年4月1日現在)を数える。この中で、鉄道が走っていないのは、つくば市だけだ。つくばは世界的な科学技術の集積地として知られる。しかし、公共交通網の不毛地帯で「陸の孤島」と呼ばれて久しい。これが大きなマイナスとなっている。

市内にはみどりの、万博記念公園、研究学園、つくばの四駅が設置され、五地区で千三百ヘクタール以上に及ぶ沿線開発区域を抱える。それだけに、つくばエクスプレス(TX)にかける期待は、沿線1都3県12市区町村の中で、最も大きなものがある。鉄道開通は長年の住民の悲願だ。

沿線開発の事業主体は、県と都市基盤整備公団になる。市内の沿線開発事業費は約七千二百二十億円に上る。国、県、都市公団、市の四者が負担する。このうち市の負担分は一千億円近い。

「田園生活」「マルチメディアな暮らし」「知的文化交流」「水と緑のネットワーク」「つくばスマートコリドール」「水循環システム」。市や県、都市公団が作成した「つくばの新しいまちづくり」のパンフレットには、こんなキャッチフレーズがいくつも並んでいる。

沿線の中で最大の開発面積を持ち、研究学園都市ならではのさまざまな集積があるだけに、まちづくりには多くの可能性を残している。特に研究学園駅が設置される葛城地区は約四百八十五ヘクタールの開発面積で、市中心部に隣接している。複合市街地を形成し、市の副都心的存在に整備すると位置付けられている。

「つくばのTX関連まちづくりで、最大のキーワードは『緑』になる」。市新線推進室の田中千秋室長はこう語る。水と緑と里山保全で、都市の利便性と自然環境が調和した緑豊かな「田園市街地」の実現を目指す方針だ。

「つくばは流山や柏とどこが違うのか。つくばには圧倒的なボリュームの緑がある。自宅や公園の緑とは違う本物の緑。これがつくばらしさの景観を生み出しており、貴重な資源になっている」

田中室長はTX沿線の中で、緑をつくばの優位性に挙げる。「つくばでは農的利用も可能で、ゆとりと余裕、潤いの持てる生活の二十一世紀型住宅ができる」。

開発区域内の緑地保全では、研究学園駅前に約八・四ヘクタールの公園を設ける。万博記念公園駅の南側には、希少鳥類のオオタカの生息が確認されたため、約十四ヘクタールの雑木林を大規模緑地として保全する計画だ。

このような公共緑地だけでなく、地権者が所有する民有緑地や集合農地も含めて緑の環境づくりに取り組んでいく。さらに商業・業務施設や住宅地などでは地区協定や緑地協定をつくり、沿線開発区域の緑化に対する市独自の支援策を検討している。

つくばの開発は一九六〇年代末からの筑波研究学園都市の整備が第一ステージ。八五年に開催された科学万博の関連整備が第二ステージで、概成期を迎えた。TX建設と沿線開発は第三ステージに当たる。つくばは「国策都市」として、これまで二兆円以上の資金が投入され整備された。これからのTX関連開発では、市の自立性が求められる。
=第1章おわり

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