産業創出

事業者の活性化を支援
受け身姿勢改め環境整備

TXのつくば駅が設置され、商業・サービス業の集積が想定されるつくば市中心部=つくば市吾妻
「やる気応援。産業創造都市つくば」。つくば市が市発展の根幹となる産業の振興を図るため、二〇〇〇年度から始めたつくば産業創出支援事業のスローガンだ。

筑波研究学園都市の建設には、二兆円以上の巨額な費用が投入された。この結果、科学技術が集積され、研究・教育機能は充実した。しかし、研究学園都市の成果から生まれた産業の集積は思ったように進まず、当初の期待は尻すぼみ状態にある。

つくばエクスプレス(TX)の沿線開発事業費で、市の財政負担分は一千億円にも上る。TX開通後、東京方面へ人口や産業が流出する「ストロー現象」も懸念されている。さらに市内からの企業撤退や他地域への移転もあり、長期にわたる市の財政悪化が予想されている。

市の産業創出支援事業は、これまでの「国や県におんぶにだっこ」の受け身の姿勢を改めた。今後は「自律都市」として、つくばにある豊富な資源を最大限に活用しながら、産業基盤を自らつくり出していく方針に転換した。

産業振興には「人材や企業の存在こそが産業創造の主体。独自性や創造性を兼ね備えた事業者の活性化を図るのが重要」と認識。やる気のある元気な人と企業の取り組みを積極的に支援していくことを打ち出した。

昨年三月には市内産業の将来像や活性化支援策などを示した産業戦略ビジョンを策定した。市が産業創造を目指す方向性として(1)科学技術を強みとした競争優位の産業形成(2)産業化・事業化が促進される風土の形成(3)魅力的で活力ある商・サービス業の集積形成(4)ライフケア・余暇産業の広域拠点形成(5)良質な生活空間創造産業の形成―の五つを挙げている。

産業戦略ビジョンの具体化に向けて、これまでに産業戦略会議をはじめ、産業戦略推進委員会や産業戦略ワーキンググループ、産業コーディネーターの推進体制を作った。

市内事業者らで組織するワーキンググループでは創業、まちづくり、ものづくり、特産品、観光の五部門に分かれてアイデアを練っている。コーディネーターは市から委託された専門家と企業で、それぞれの企業に対する指導相談や企業訪問活動を実施している。訪問はこれまでに約二百事業所に上っている。

市では今年度に産業創出支援事業補助金として、企業立地促進制度で二種類の補助金制度、中小企業活性化促進制度では三種類の補助金制度を設けた。これまでに合わせて四十事業所からの申請が寄せられている。

中小企業活性化促進制度の中には、創造的事業促進法に規定する研究開発事業計画で、認定を取得した事業者に対し、認定や活動などの経費の一部として百万円を補助する補助金がある。

この事業計画の認定取得には、知事への申請が必要となる。市産業振興課では「今年度、県内で知事への申請は十四件で、このうち十二件がつくば市内の事業者だった」と話す。「いかにやる気のある事業者が市内にいるか分かった」と再認識する。

〇四年度は新たに経営革新と空き店舗関連の二種類でも補助金制度を設ける。さらに補助金制度のほかにも、通常は工場立地などに限られる固定資産税の免除を商業や個人事業などにも適用を拡大する企業立地優遇策を検討している。

(斉藤聡)=第2章おわり


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