「健康増進法」施行機に改めて問う
喫煙、女性は増加傾向

人はなぜたばこを吸うのか?本当に理由はないのか?
■学校全面禁煙化■
県教委は、学校完全禁煙化方針を打ち出した。二〇〇五年度に実現を目指す。厚生労働省が、二十一世紀の国民健康づくり運動として、二〇〇〇年度に定めた「健康日本21」が呼び水となった。

健康増進は、一人ひとりが主体的に取り組む。全ての関係機関、団体などが支援して、国民一体の意識向上を目指す。がんや糖尿病など、生活習慣病と関連性をもつ疾病と共に、「たばこ」が取り上げられ、(1)防煙(2)分煙(3)禁煙支援ーが紹介されている。

これを受け、県も二〇〇一年三月に、「健康いばらき21プラン」を策定した。たばこ問題では、「副流煙は主流煙以上に多くの有害物質を含み、『受動喫煙』で非喫煙者に害を及ぼす」と指摘。受動喫煙を減らす必要を明示した。

今年三月策定の「県総合がん対策推進計画(第二次)」も、がん予防の視点から喫煙に焦点が当てた。これら大きな流れが契機となり、県教委は全公立学校の禁煙に踏み切ったが、未成年へのたばこまん延について、対策はまだまだ追いついていない。

厚労省の「喫煙と健康問題に関する実態調査」、文部科学省の「薬物に対する意識など調査報告書」によると、未成年の喫煙率は男子19%、女子4.3%で、「将来喫煙すると思う」と答えた男子生徒は、中学から高校で年々増加し、高校三年の男子では三割以上に。

この変化に呼応し、学校現場での禁煙教育も、指導による受身の形だけでなく、生徒が問題と向き合って研究を進め、自身を守る意識を養う目的で、体験型「ライフスキル教育」導入など、新しい方向や方法が模索されている。

■喫煙現状■
新法のうねりとは対照的に、喫煙事情は依然として停滞状態。「喫煙と健康問題に関する実態調査」によると、喫煙率は男性52.8%、女性13.4%で、男性は二十〜五十歳代の半数以上、三、四十歳代は六割以上もの高さとなっている。

それでも、男性は一九六〇年代の八割%台が、一九九八年には54%まで減少したが、反対に女性は緩やかな上昇傾向となった。特に、二十歳代は六〇年代の10%以下に対し、九九年では23.6%と過去最高を記録。喫煙は、出産への悪影響が指摘され、若い女性の喫煙状況は深刻と言える。

一方、県保健福祉部が九九年八月、県内二十市町村の十〜七十歳代までの男女、一万四千人を対象に行った「県民健康実態調査」では、県内の喫煙率は男性43%、女性10.7%と全国より低め。全体の六割以上が禁煙、節煙の意志があるとの答えている。

調査は受動喫煙にも触れ、七十歳代の四割を除き、全世代の六割以上が受動喫煙を体験。場所には、職場・学校が43.6%、家庭が41.3%、飲食店が25.2%とか。校内敷地内禁煙の効果が、統計に変化をもたらすかも注目される。

■社会的問題■
なぜ喫煙するのか? その問いに、多くは「何となく」「理由はない」と答えるようだ。医学的に、健康被害に疑問の余地がない中で、ニコチン依存者の性質と、たばこ産業の巧みな戦略が見え隠れする。

しかし、「健康日本21」で紹介される日本のたばこによる超過死亡者数(禁煙すれば死亡に至らなかった人数)九万五千人は、そうした解釈では片付けられない重さを持っている。

肺がんをはじめ、喉頭がん、食道がん、ぼうこうがん、虚血性心疾患、歯周疾患など全身に及ぶ疾患の発生で、九三年には年間一兆二千億円(国民医療費の5%)が、超過医療費となっており、社会全体で四兆円以上の損失を出している。

受動喫煙で吸い込む副流煙を、主流煙と比較してみると、ぼうこうがんを誘発するナフチルアミンが三十九倍、肺気腫などをもたらすカドミウムが三・六倍、一酸化炭素は四・七倍など有害物質が圧倒的に多い。周囲の喫煙者の影響で非喫煙者が体を犯される例も珍しくない。

それでも、一歩街に踏み出せば、ビルの屋外広告には夕陽を背にしたカウボーイや、清潔感あふれる女性モデルが、大胆にたばこのイメージを発信し続ける。メッセージを受け取った未成年らは、自動販売機にためらいなく足を向ける。

「人はたばこを吸っているのではない。ニコチンに吸わされているだけだ」。禁煙団体「無煙世代を育てる会」(代表・平間敬文医師)の渡辺進・歯科医は講演で、そう語る。

一方、「国内喫煙率は着実に下がり、現在は50%前後。これは多くの喫煙者が、禁煙したことの裏返しであり、またたばこには依存性がないという証」。JT(日本たばこ産業)水戸支店の阿久津勇夫業務部長は淡々と述べる。

たばこ問題にかかわる教育関係者、禁煙団体、一般の喫煙者、たばこ産業関係者らの取材を通じ、たばこが人々にもたらす現実を、多角的に検証する。


【健康増進法】
▽国民は生活習慣を重視し、生涯にわたり健康の自覚、増進に努める
▽国や地方公共団体は教育広報活動を通じ、健康増進の正しい知識などに関する情報収集、提供、人材育成に努める
▽保険者、事業者、市町村、学校などは、都道府県や市町村での各健康増進計画を積極的に推進する責務を持つ
 ―などを明記。第五章・第二節に「受動喫煙の防止」が掲げられ、学校、病院、事務所、官公庁施設など多数の利用者がある施設の管理者は、受動喫煙防止のために必要な措置を取ることが記されてた。

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