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| 禁断症状からの脱却 |
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リラックスの効果なし
「来院のきっかけは、たんが出る、運動能力が落ちる、疲れやすい、周囲に言われてきたなど無数にある。最近は、肺がんや肺気腫、心臓病など喫煙による疾病が進行してからの来院者は少なくなった」 「禁煙相談が一般的に浸透しつつあるのと、敷居が低くなっていることもある。禁煙運動を担う医師の立場からすれば、何よりニコチンという薬物のいやらしさに人々が気付き始めてきた事実がうれしい」 平間さんによれば、「たばこの真実」を追求する包囲網が、着実な形で社会に広まっているという。 ■誤認識■ そうした訴えもむなしく、一歩街に出れば自動販売機でもコンビニでも、たばこを売っている。ちまたでは「喫煙で死ぬならみんなとっくに死んでるよ」という決まり文句が、相変わらず喫煙者間をこだまする。 しかし、世界で年間四百万人が喫煙による疾病で死亡している事実は無視できない。厚生労働省の「健康日本21」によると、たばこが原因とする死亡者数は年間九万五千人で、全死亡者数の12%を占める。肺がん死亡者数は一九九八年に胃がんを抜き、五万八百六十七人に上る。 これらの数字は、あいまいで誤った認識こそがたばこの最大の病根であることを物語っていないだろうか。 同報告によると、九九年の喫煙と健康問題に関する実態調査では、全体の85%が「喫煙で肺がんにかかりやすい」と思っている半面、心臓病への影響については40.5%、脳卒中では35.1%、胃かいようで34.1%と、影響に関する理解度の低さをうかがわせる。 平間さんは「四十代までに心筋梗塞(こうそく)が見られるのは、すべて喫煙者だ」と指摘する。報告では、たばこには依存性があると知っている人は51.8%にすぎず、約半数が認識していない実態が浮き彫りになっている。 「なぜたばこを吸うかって? それはなぜ生きているかって聞いているのと同じだ」。誤った認識に支えられているとはいえ、喫煙者の二人に一人はそうした実存的で難しい問いを発している計算になる。 ■快の正体■ この誤認識は、たばこを「快」と感じるメカニズムや、強烈な依存性に関しても見られる。 本来は達成感や快楽を感じた時にはじめて脳内の神経集末から出される、「セロトニン」や「ドーパミン」、「アセツコリン」などの脳内化学伝達物質が、喫煙時には依存性物質のニコチン(植物アルカロイド)という薬物に「外部委託」され、受動的に放出される。 これにより、人はリラックスできたと錯覚するが、実際は生理作用で血管が収縮、脈が速くなるなどの交換神経系の興奮が起こっており、沈静の効果はない。逆に筋肉は緊張し、精神的に極めて攻撃的な状態になっているという。 では喫煙時の一時的な「快」の正体は何か? それはニコチンの制限された代謝時間から、また禁断症状からの脱却だ。ニコチンによる「模造された」緊張と、「錯覚」したリラックス感を得ているにすぎない、とされる。 考えてみれば薬物に違いはない。一人静脈に針を立てる、覚せい剤常用者の恍惚(こうこつ)の表情が喫煙室にあふれているシーンを想像してほしい。 極論すれば、ニコチンがないと喜怒哀楽もなくなるということになる。「喫煙は脳の病気」(平間さん)の訴えがリアルに響く。 |
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