たばこがもたらす「現実」
「無煙世代を育てる会」高校で講演、生徒ら驚き

イラストや写真など、スライドを多用しわかりやすく講演する
先日、平間敬文さんが代表を務める「無煙世代を育てる会」の禁煙講演が、土浦市内の私立高校で行われた。講演を聴いたのは、入学間もない一年生二百六十人。

■どよめき■
「キャッ!」、「え、本当?」「うっ!」遠慮気味な悲鳴と、驚きが入り混じるうなり声が、数分おきに館内にこだまする。生徒らの目に映し出されているのはある写真群。タールに染め上げられ肥大化した肺、一酸化炭素の過剰吸収で血管が狭くなり壊死した足の親指、二十センチ以上の長さにおよぶ肺がん患者の手術跡ー。長い期間かけてゆっくりと体をむしばむ、ニコチンという毒物による犠牲者たちの成れの果ての姿だ。

肺がん患者の手術最中の光景と、血に染まりながらも黒く斑点状に侵された肺のクローズアップで、どよめきは頂点に達した。だが壇上の平間さんの声は、館内の反応とは対極にある。突き放したような冷たさすらたたえる。「タールの漬物のような肺が黒光りしているよね。君たちも中学校からたばこを吸えば、こんな肺になるかもしれないよ」

講演者は生徒らの視線から目をそらすことなく立ち向かう。時間を追うごとに館内の緊張は増した。

「行き過ぎだ」「あの写真に子供たちは好奇の視線だけしか送っていない」「たばこ産業に矛先を向けるまで言及する必要があるか」など、一般的な反応はさまざまだ。だが、そこには言葉で頭ごなしに禁煙を訴える「脅し教育」も、思春期の繊細な心理面への遠慮も、喫煙者の立場に配慮した言葉も、「建前」をにおわすものは、何一つ存在しない。

すべてたばこがもたらす現実、たばこを人々にもたらす、ある組織が起こす無数の事実、そして「たばこの正体」を並べるだけだ。

■会結成まで■
一九八〇年代に入り、平間さんは自身の病院で、狭心症やCOPD(慢性閉塞性呼吸不全)患者らに対する禁煙支援や、日本青年会議所の地域リーダーを対象に禁煙を促すなど、積極的に取り組んでいた。しかし禁煙は続いても一、二カ月という、大人の喫煙現状に絶望していた。

こうしたなか、友人で県立下妻一高教諭の飯村省一さん、小松崎病院の小松崎厚院長らとともに高校生の喫煙現状を話すにつれ、「大人に話しても無駄だ。たばこに手をつける前の子供たちに、知識を持たせることが最優先だ」との案が浮上。飯村さんの友人で、下館市で進学塾を経営する広瀬陽一さんの学校側への働きかけもあり、校内での禁煙講演の実施が決まった。八四年春、講演とスライド、十六ミリ映画上映の三本を柱に、禁煙講演を行う同会の結成に至った。

結成直後の同年四月に実施した県立下妻一高での講演が評判を呼び、年々講演校数も増加。千葉、埼玉、栃木県からも、養護教諭、生徒指導部会などの働き掛けを受けた県レベルでの依頼があり、すでに三十七万人が平間さんらの講演を聴いた。現在でも週一回のペースで実施。「たばこの正体」を社会に打ち出す努力を続けている。

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