宣言守られず無関心
八千代町「青少年無煙の町」の今

いまだに大型の備え付け灰皿が、複数設置される八千代町役場内
前八千代町長の大久保敏夫さんは、施行されたばかりの健康増進法や学校敷地内禁煙化の動きに「遅まきながら、自分たちの志が現実化していることに喜びを感じる」と語る。

しかし、自らが全国に先駆けて取り組んだ「青少年無煙の町」宣言は、よくあるスローガン倒れ結果となっている。宣言の看板だけが立派に町役場などに掲げられ、空しさを漂わせている。

■無煙の町の現実■
大久保さんが退任した後、宣言された五項目が施策として推進されることはなかった。宣言の担当部署である秘書課の鈴木忠コミュニティ係長は「現在は二項目に掲げた、各学校における喫煙の害についての啓蒙活動以外は実施していない」と苦しい胸の内を明かす。

鈴木係長の言う「啓蒙活動」とは、年一回の禁煙講話や生徒会での呼びかけを指す。どの学校でも実施されるものばかりで、画期的とされた宣言を反映した活動とは言い難い。

結局、宣言五項目の「自動販売機の段階的撤去」では、町内設置の約六十台のうち、たった一台の撤去も進まなかった。三項目の「小中高校の校内無煙化」では、宣言に伴い一九九九年、大久保さんが町の予算で町内全小中高校に、指定された喫煙室内に換気扇を設置。それ以降、現在まで校内分煙化は続いている。

しかし、大部分の校長室には来賓用の灰皿が置かれているのが現状。教育指導面では、県教委の校内完全禁煙化に合わせて、具体策を模索する段階にあるといえそうだ。

宣言後、真っ先に禁煙化が進んだ役場内。現在は分煙さえ行われず、自席でたばこをふかす職員の姿も見受けられる。「役場内には喫煙室として適切な部屋がない。煙が漏れては分煙にはならないと思うし、難しいところ」と鈴木係長。

■打ち切りの理由■
宣言以外にも、同町保健センターでは九八年から二〇〇〇年まで、禁煙標語コンクールを実施。この期間に、町の広報紙で「知って得する健康と栄養の話」を連載。禁煙団体「無煙世代を育てる会」代表の平間敬文医師による禁煙指導を積極的に紹介した。

しかし、なぜか両企画とも新町長の就任直後に打ち切りとなった。これらについて今年一月に再選された、大久保司町長に取材を申し込んだが、今回は多忙を理由に応じてもらえなかった。

前町長の大久保さんは、町税が減ることへの不安の影響も考慮する。「八千代町に落ちる町税は少ない。たばこ一本による町税は二円二十三銭。年間で二億円となり、大きな影響を持つのは理解できる」と。

一方で、「それは町税の問題で青少年の煙害からの保護とは別問題。子供の将来と目先の税金、どちらが大切なのか」と今後のビジョンを踏まえた問題提起を忘れない。

■諦めと無関心■
一九九九年の町長選以降から姿を消した宣言について、その後は「町民から全く質問がなかった」と鈴木係長は語る。

〇〇年七月、八千代第一中学校体育館で年一回の禁煙講話として、当時の役場の秘書課長、PTA役員、生徒会代表、教員らが参加してパネル討論が行われた。

話題はたばこの広告や疾病にとどまり、宣言について触れた参加者はいなかった。同校の酒寄亨一生徒指導主事は「大変な問題なので、秘書課長に無理して質問したり、返答を願っても『しかたがない』と、私を含めみんなが思っていたのではないか」と振り返る。

そして現在…。印鑑証明を取るために町役場を訪れた同町菅谷の主婦に、宣言後について感想を聞くと「全く気にかけていない。たばこ関係は難しいんじゃない? やっかいなことはみな嫌いだからね」との答え。たばこをめぐる「今」が集約されていた。

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