生物処理の除去率低下
県企業局県南水道事務所 (土浦市、 河端孝四郎所長) から、 浄水工程の前半で使用する前塩素量と、 導入から二十年近い歳月が経過した生物処理方式の除去効果に関する詳しいデータが十八日、 本紙に寄せられた。
 
検証取材の初めは、 県の 「問題点」 指摘に沿って、 残留塩素 (後塩素) の実態を取り上げた。 かなり高濃度の注入が続いてはいるが、 末端の蛇口 (土浦市内の小中学校) で、 奥井氏が指摘するような 「1ppm」 超の数値は一校もなかった。 また、 県企業局の担当者が十一月二十二日の霞ケ浦意見交換会 (国土交通省霞ケ浦河川事務所主催) で行った、 「コイヘルペスウイルス病 (KHV) 対策で塩素処理を強化」 との説明を裏付ける数字もなかった。 しかし、 その時点では水道法による水質基準対象外の前塩素のデータは持ち合わせてなかった。 「もしや」 というわけで、 連載スタート二日目にデータ提供を同事務所に求めた。
 
本紙に寄せられたデータには、 KHVの表面化 (十一月二日) をはさんだ今年十月、 十一月だけでなく、 生物処理採用直前の八四年、 ほぼ中間に当たる九五年などのデータが含まれている。 霞ケ浦の水、 ひいては塩素処理にかかわる奥井氏の関心は、 十七日付コラム 「21世紀への処方せん」 にも記されているように半世紀前にさかのぼる。 このため、 塩素依存からの脱却を掲げ 「おいしい水づくり」 のため、 当時の県政が四十五億円の巨費を投じて取り入れた生物処理の、 その後の塩素量削減効果、 汚濁成分除去実績は、 ぜひ確認しておきたかった。 半面、 「古いデータを倉庫で探し出すのに時間がかかった」 (同事務所) ことから、 回答が遅れた。
 
奥井氏のコラムに直接かかわる結論を先に言えば、 前塩素についても 「KHV対策で増量したデータは見あたらなかった」。 別表で明らかなように、 前塩素注入量 (月平均値) は、 十月3.6mg/L、 十一月3.0mg/Lで、 逆に減少。 スペースの関係で掲載できない毎日のデータを比較しても、 結果は同じ。 十一月後半の注入量は2mg/L台に減っている。
 
八○年代はアオコをつくる藍藻 (らんそう) 類のミクロキスティス全盛期。 生物処理導入前 (八四年) は、 特に夏から秋にかけて7mg/L台の塩素が注入された。 科学万博開幕直前 (八五年二月)、 微生物の自然浄化作用を浄水場内にコンパクトに再現した 「ハニコームチューブ」 (蜂の巣) と呼ばれる生物処理装置が本格稼働。 八五年の注入量は、 アオコ大増殖の八、 九月も4mg/L台に下がった。 しかし、 近年は平均して、 当時より前塩素使用量が増えてきたことを示している。
 
合わせて近年の白濁現象や、 今秋初めて確認された赤潮生物の大発生とも関連して気になるのは、 原水 (霞ケ浦) 中の濁度 (濁り) が高くなり、 特に除去率がかなり低下していることだ。 第六回世界湖沼会議が開かれた九五年、 78%を記録した除去率が、 ○二年は49%、 ○三年も56%にとどまっている。 九八―○○年の三カ年平均69%からも低下傾向が著しい。 ○二年十月以降は四カ月連続で30%台に下がるなど、 月によるばらつきも顕著だ。
 
これらについて、 同事務所浄水課では、 「生物処理は有機物を微生物の働きで分解・除去する仕組み。 濁度の成分は無機物なので台風接近などで高くなる場合がある」 「前塩素は、 生物処理の後ろの工程で注入される。 その水を厚さ2.5メートルの活性炭の層を通すので、 前塩素の多寡にかかわらず、 限りなくゼロに近い数字になる。 最終的に、 処理水で金魚二十尾を飼って異常のないことを日々確認したうえで水を送っている」 と説明している。
 
前塩素にも、 KHV対策による増量はなかった―。 百二十人の参加者を前にした当局者の説明は何だったのか。




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