| アルミニウム問題に注目
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| 「えっ、アルミ?直接、湖や川関連の規制はないね。水道ぐらいだね」。水処理技術に詳しい十年来の知人に久しぶりに電話連絡した。故郷の飲料水源「霞ケ浦の水」に対する思いは深い。最近のキーワード「健全な水循環」にかかわる資料などでだいぶ勉強させてもらった。 アルミニウムは、原水中の有機物や濁りを沈殿させて取り除く凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)の成分で、霞ケ浦の浄水場では「パック(PAC)」と呼ばれ、以前からおなじみの薬品。県南水道事務所では、生物処理が済んだ水に前塩素を注入した後、パックを添加。高速凝集沈殿池↓急速ろ過池↓粒状活性炭ろ過池↓(後塩素)↓浄水池を経て、各市町村に送られる。 近年、アルミ鍋などからの溶出による健康影響がお茶の間の話題となり、代替品のステンレス鍋が人気を集めた。今秋、湖水(霞ケ浦)の白濁は、珪素(けいそ)とアルミニウムが原因との県公害技術センター調査結果が明らかにされた。小野川河口の真珠養殖漁場で起きたイケチョウガイの大量へい死現場では白濁水が目撃され、被害との因果関係が注目されている。 国土交通省霞ケ浦河川事務所が意見交換会と並行して開いている勉強会(七月)では白濁の原因をめぐって質疑が交わされた。霞ケ浦研究会例会(十月)では、「白濁化は、生物現象ではなく人為的な湖内起源である可能性が高く、その分布から湖内しゅんせつに起因するであろう」との発表があった。 底泥しゅんせつは、一九七五年に建設省(当時)の水質浄化事業としてスタート。九二年に規模拡大、推定堆積量の二割に当たる八百万立方b除去の計画のもとで土浦沖を中心に作業が進み、二○○二年度末の進ちょく率は76%。しゅんせつ事業では電気掃除機の要領で静かに吸い上げる工法が採用され、除去後は自動的にパイプラインで桜川村・東町の干拓地に送られ、低地改造(カサ上げ)に活用されている。国土交通省霞ケ浦河川事務所では「湖内で薬品を使っていることはない。白濁の原因は調査中」としている。 □ 県下の水道行政を所管する県生活衛生課によると、今年五月の十年ぶり水道法改正(○四年四月施行)で、アルミニウムは水質基準項目に追加され、0.2mg/L以下との基準値が定められた。しかし、「水道法の規制は、あくまで上水として送り出すときの水質であり、水源となる原水(霞ケ浦)には適用されない」と説明。湖など公共用水域担当の県環境対策課に尋ねると「アルミニウムに関しては特に指針などはない。県として測定もやっていない」と現状を語った。 冒頭の水処理技術関係者はかなり前から、上水道取水地点と下水道放流口の位置関係に注意を促していた。下水処理場では、浄水場と同様、処理工程の中で凝集剤を使用していることから、県下水道課にアルミ系薬品の取り扱いを問い合わせた。 その結果、ポリ塩化アルミニウム(パック)は、富栄養化物質のリンを除去するため、県内では湖北、水郷、常南、那珂久慈の各流域下水道で使用している。下水道法や水質汚濁防止法ではアルミニウムの排水基準は設けていない。県として運用上のガイドラインも定めていない。放流水の測定もしていない。基本的には下水汚泥の中に移行すると考えられ、汚泥は焼却処分やセメント材料にしている。しかし、放流水を霞ケ浦に流す湖北流域下水道(土浦市)、水郷流域下水道(潮来市)の処理場では近年、凝集剤をポリ鉄(ポリ硫酸第二鉄)に切り換えるなどの対策を講じてきているという。 霞ケ浦浄化センター(湖北流域)は七八年に処理開始。現在、十二系列のうち、パック使用は、旧式の標準活性汚泥法を採用している一系列だけ。九九年から、凝集剤添加循環式硝化脱窒法による八系列ではポリ鉄に切り換え、残る三系列も、微生物の働きでリンを除去するO法や修正バーデンフォ法と呼ばれる最新の処理方式に転換した。全国の町村に先駆け七七年に処理開始した潮来浄化センター(水郷流域)では、いち早く九六年にO法に全面移行した。 霞ケ浦流域では生活排水対策として農業集落排水施設の整備が盛ん。県農村環境課によると、○二年度までに完了または着工したのは六十二地区。凝集剤の取り扱いは規制していないが、近年についてはアルミニウムを含まない高分子凝集剤仕様の施設に切り換えつつあるとしている。 □ 水道法改正では、アルミなど十三項目が追加された。臭気物質のジェオスミン、2―メチルイソボルネオールなど霞ケ浦が先駆けた対応もある。上水が下水になり、それがまた上水になる霞ケ浦の現実―。アルミニウム問題に限らず、横断的取り組みは当然だ。 |