| 在来魚増やせる可能性も
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| 霞ケ浦市民協会が先週に行った定期湖水観測で、十一月に引き続き、赤潮をつくる珪藻(けいそう)類のスケレトネマ・ポタモスの優占と湖水の白濁が確認された。前月に比べ、赤さが薄まっていたという。霞ケ浦で初めての赤潮生物は、どこから来たか―。 戦後から長く湖沼観測を続けていた県OBは「スケレトネマ・ポタモスというのは聞いたことも見たこともない」。一九七○年代の藍藻(らんそう)のミクロキスティス優占期に観測をしていた別の県OBも「当時は確認しなかった」。県内水面水産試験場(玉造町)では、「形状が茶筒型で似ている同じ珪藻類のメロシラに間違えられた可能性」を指摘する。 霞ケ浦では、奥井氏がコラムで触れたように、五七年から六○年にかけて利根川総合開発計画の一環として各種調査が行われた。対象は、地文(担当は建設省=当時)、流入量(本県)、流出量(建設省・千葉県)、波浪(本県)、水質(東京都)、漁業対策(本県)の六項目。六二年三月に、関東甲信静越地方総合開発審議会霞ケ浦小委員会が「霞ケ浦総合利水調査報告書第一集」を残している。 第五章の「水質調査」によると、検出された植物性プランクトンは、藍藻類十種、緑藻類二十三種、珪藻類二十八種の計六十一種。当時、すでに七月下旬から十月下旬にかけて、ミクロキスティスが非常に多く「水の華」を形成していたと記録。珪藻類では、五月初旬にメロシラやシネドラなどが優占と記されているが、珪藻類二十八種の中にスケレトネマ・ポタモスは見つからない。 過去に確認例のない種が優占するのはどんな場合か。経路・条件について、現役研究者にたずねた。「スケレトネマのタネは至る所にある。飛んでくる水鳥が外から運び込むことも考えられる。環境条件が合えば、どこでも増える。植物プランクトンの優占種の変化は、湖内の環境変化を敏感に反映するシグナル。しかし、環境影響や増殖のメカニズムについては少し時間がほしい」という。 □ その数日後、別の研究者OBから、利根河口堰上流の利根川で近年、スケレトネマ・ポタモスが計測されていると連絡があった。九五年九月、十一月に利根川河口から二十六キロ地点(利根川に注ぐ千葉県側の阿玉川付近)、九九年六月、八月には同十九キロ、七十六キロ地点(布川)でポタモスが出現上位三種に数えられていた。 霞ケ浦は、かつて利根川と一体だったことから逆流型洪水が頻発。六三年に常陸川水門が、七一年に利根川河口堰が、いずれも利根川河口から十八キロ地点に完成、その後は水門・堰操作で、潮の干満による逆流は起きず、別々の水の動きになった。両水系を今も結んでいるのは、横利根川。横利根閘門(こうもん、佐原市)を通して船の出入りがある。九四年春に霞ケ浦導水事業・霞ケ浦開発事業の合体で利根導水路(利根川連絡水路)が完成、翌年九月に霞ケ浦の水を利根川に流す試験通水が行われた。昨年と今年の六月に水資源機構(旧水資源開発公団)が、ポンプ設備などの機能確認試験を行った。同機構霞ケ浦開発管理所では「九五年と同様、霞ケ浦から利根川方向へ流したもので、利根川の植物プランクトンが霞ケ浦で発生する原因とは考えられない」としている。 □ 自然界にはピラミッド構造(食物連鎖)がある。ピラミッドの一番下にいる植物プランクトンをエサにして、動物プランクトンが育ち、それをピラミッドの上位の魚介類が食べて成長する「食う・食われる」関係。今秋のスケレトネマ・ポタモス出現は、そうした湖内生物相にどんな影響を与えるか。明暗の両面から今後を予測している研究者に話を聞いた。 「湖内で発生する藻類が二、三年前から、それまでのオシラトリアなどの藍藻から珪藻に変わってきているのは悪い傾向ではない。基本的には酸素を供給し、動物プランクトンのエサとなるからだ」。 「ただ、植物プランクトンをエサとしている動物プランクトンが増えず、植物プランクトンを食べない魚食性のアメリカナマズが爆発的に増えている湖内の現状の下では、珪藻類がエサとならず湖内に残され枯れる腐食連鎖を起こし、酸素欠乏状態に陥る恐れを否定できない」 「アメリカナマズを漁獲して買い上げるなどの方法で抑制できれば、今年増えているシラウオのほか、在来魚のワカサギが増えていく可能性がある」 □ 霞ケ浦条例施行の前年、湖沼学者の講演で「赤潮は思春期のニキビのようなもの」とのたとえ話を聞いた。霞ケ浦の富栄養化は、加齢現象と同じで避けられないと受け取られた。それから二十数年、今回の若返り現象に首をかしげる人は二、三人にとどまらない。 |