末端の残留塩素、学校間で格差
消毒のための水道水への塩素投入は戦後、重視されるようになった。水源地の汚濁が進むにつれ、使用量も増大、塩素と反応して生成する発ガン物質の有機塩素化合物、トリハロメタン問題も持ち上がり、霞ケ浦では一九八五年の科学万博開幕前に、微生物の自然浄化作用を人工的に再現する生物処理方式を、実用規模としては全国で初めて採用され注目を集めた。

同じ年、厚生省(当時)の「おいしい水研究会」は、「おいしい水」の要件として、残留塩素について0.4mg/Lの数字を示した。その後、水道法改正(93年)の際、末端蛇口の残留塩素基準0.1mg/L以上を維持する一方、快適水質項目(目標値)が新たに設けられ、残留塩素については1mg/L程度とされた。消毒が確実に行われ、味覚への影響も少ないレベルとして設定された。浄水場などでは、におい(カルキ臭)軽減か、健康(消毒)重視か、両にらみをしながら塩素管理を続けている。

浄水場で注入する塩素には、原水に含まれる有機物やアンモニア、鉄、マンガンなどの酸化・分解を行う「前塩素」と、消毒のため最終工程で入れる「後塩素」の二種類がある。残留塩素の規定は後塩素についてのみ適用される。

県企業局は水の卸し業。県南水道事務所(土浦市大岩田)の仕事は、龍ケ崎市などで構成する県南水道事業団、つくば市など市町村が設けている配水池に水を届けるまでが守備範囲。残留塩素についても、各配水池入り口を末端の蛇口と読み替え、水道法の基準(0.1mg/L以上)を維持し、目標値(1mg/L)を上回らないよう管理している。配水池から家庭や事業所などの蛇口までは市町村などの仕事になる。学校については、別途学校保健法による「学校環境衛生の基準」があり、残留塩素についても定めている。

県南水道事務所では「コイヘルペスウイルス(KHV)については詳しい情報がないため、一般的なウイルスが不活化する(死ぬ)塩素量の目安、0.35mg/Lを参考に、後塩素として0.6〜1.0mg/Lを注入している」と説明。奥井氏のコラムの「問題点」を指摘した際、県が添付した残留塩素のデータによると、2003年4月〜11月の平均値(県南水道事務所浄水池)は、0.9mg/Lで、02年度の年間平均値と変わらない。KHV表面化前の今年10月と11月はいずれも0.8mg/Lで、これも変わりがない。各配水池入り口の10月と11月のデータを比べると、大岩田(土浦市)0.6mg/Lで0.2mg/L減、美浦0.7mg/Lで0.1mg/L増、県南(龍ケ崎市)0.6mg/Lで横ばい、筑南(つくば市)0.6mg/Lで0.1mg/L減、阿見0.7mg/Lで0.1mg/L減となり、増加は美浦配水池にとどまる。

県南水道事務所によると、前塩素は、生物処理工程のあとに注入されるが、前塩素の注入量に関する法令上の規定は存在しない。

学校の残留塩素について学校環境衛生の基準は、水道法改正と同じ九三年に定期、臨時、日常検査を各学校に義務づけるとともに、給水栓について0.1mg/L以上が保持されることと定めた。病原生物に汚染される恐れがある場合は0.2mg/L以上と定めた。一方、外観、臭気、味などに異状がないことという条件も示された。

県保健体育課によると、「塩素濃度が0.6〜0.7mg/L程度になると、臭いがひどくなる。こうした事情と法令・基準(の趣旨)を考え合わせ、霞ケ浦を水源とする学校については、法的に規定があるわけではないが、0.4mg/Lの塩素濃度が望ましいと指導している。しかし、今回のKHV問題で注入量の増加を指導した事実はない」と話している。

土浦市教委が県の求めに応じて提出した毎日(開校日)の残留塩素測定データ(今年11月)によると、市内十七小学校、七中学校、計二十四校のうち、0.1〜0.2mg/L程度が六、七校、0.3〜0.4mg/L程度が11,2校、0.5〜0.6ミリグラム程度が5,6校と、県教委の指導す0.4mg/L前後が多いがバラつきも目立つ。市教委が別途示した10月のデータと比べ、やや増量の傾向がうかがわれるのは、小学校二校、中学校一校にとどまった。11月の注入量がもっとも高かった場合でも、0.8mg/Lで、奥井氏が記した「1ppm」を超えたケースは見あたらなかった。

残留塩素濃度の学校間格差について、市教委学務課では、「測定は保健室の近くで行っているが、学校によって校舎の構造や教室の配置などに違いがあり、水道管の延長距離も異なる。送水中に塩素が飛ぶ(分解)ことを折り込んで、もっとも遠い蛇口でも0.1mg/L以上を確保するには、かなり注入する必要がある学校も出てくる」と説明している。



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