| 現行浄化対策に死角
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| 「21世紀への処方せん」の筆者、奥井登美子氏が学校薬剤師を辞任する旨、文書で関係団体に意思表示した。コラム記事について、県が「問題点」として文書で指摘した五項目(ほかに口頭で一項目)の検証記事を近く掲載するので、と先週末に態度保留を求めたが、「個人として自発的に投稿しているコラム」「私が責任を持つべき文章」との態度は変わらなかった。 連載の初めに引用した国土交通省の電子掲示板にはこの数日、「余所者」氏などと「なまず」氏の間でやりとりが続いている。「検証が必要な記事を掲載してしまった時点で一言謝罪すればいいのに」と「余所者」氏が書き込みをしたのに対し、「なまず」氏が「霞ケ浦の湖水で起きている現象に諸氏の注意を喚起」するのがコラム筆者らの「真意」との認識を記している。 奥井氏は、東京・下町生まれ。奇しくも霞ケ浦を水源とする水道組合が流域で初めて発足した一九五七年、土浦市内の薬局に嫁いだ。水道水源としての霞ケ浦の適格性判断にもかかわった身近な人が六七年に若くして死去。娘さんがアトピー性皮膚炎にかかったのを機に水道水への関心を高め、七一年の土浦の自然を守る会結成に参加した。 結成後の主な活動は桜川清掃だったが、二年後の七三年夏、今秋と同じような大異変が霞ケ浦を襲った。専門家などに「昭和四十八年の事態の解明」との課題を迫ることになった現象は、湖全域でのアオコ(ミクロキスティス)大発生と酸素欠乏、当時の生産量の58%に達する養殖コイ大量死、浄水障害と水道水の異臭味被害など。ほかにも、ワカサギが湖を離れ河川を遡上するなど生き物の異常行動も観察された。 母親、主婦、薬剤師、市民活動リーダーとしての、三十年以上の体験をベースに、霞ケ浦の改善につながる「暮らしの中の変換キー」を探ってきた。新しい店づくりの際、雨水の再利用システムも取り入れた。コイ養殖を含む漁業者との交流を重ね、今回のKHV(コイヘルペスウイルス病)報道直後、仕事の合い間をぬっていちはやく現地にかけつけた。魚介類を含む「霞ケ浦の食文化」は、所属団体が追求しているテーマの一つだ。 近年取り組んでいる森林を育てる活動には、市民や子どもたちのほか、水道事務所や林業関係の多くの県職員が参加している。抜本的に霞ケ浦の水を改善するには、役所批判だけでなく、う遠なようでも緑がカギと考えるに至ったからだ。 ◇ 湖内の問題は、KHVや白濁、赤潮、真珠母貝のへい死などの特異現象だけではない。現行浄化対策の枠組みにかかわる課題も明らかになった。 水道水源のため霞ケ浦の環境基準は七二年の環境庁(当時)告示で、COD(化学的酸素要求量)3mg/L以下と定められた。現在の第四期水質保全計画の水質目標は、2005年度7.4mg/L。県が今夏に公表した02年度平均値は7.5mg/L。低温も手伝ってだいぶ改善され目標に近づいたが、環境基準からはなお隔たりがある。 近年、湖内ではオシラトリアなど低温に強く一年中発生する糸状藍藻(らんそう)類がCODを押し上げる要因と説明されてきたが、もう一つは「由来が未解明」の溶存態CODの湖内残留だ。 三カ年の調査研究を続けてきた県公害技術センター(水戸市)は「霞ケ浦のCODとその除去手法について」と題した冊子をまとめた。CODは、極微細なフィルターを通過しない、プランクトンなど懸濁状態の有機物(懸濁態COD)と、水に溶解していてフィルターをくぐり抜ける溶解性有機物の二種類に分けられる。 調査の結果、懸濁態CODは植物プランクトンの増殖量に比例して増加するが、溶存態CODのほうはプランクトンの発生量とは関係がなく、約五mg/Lで一定であることがわかった。現状CODの68%を溶解性が占め、流域から入る窒素、リンなどの富栄養化物質を完全にシャットアウトし、植物プランクトンが全く発生しない状態にできたとしても(生態系の健全性の面で問題だが)、溶存態CODだけで環境基準(3mg/L)を上回ってしまう。 この溶存態CODの特徴は百日経過した後も、約80%は分解されないという難分解性にある。その30%〜50%は難分解性のフミン酸で、フルボ酸など有機酸もかかわっている。いずれも、長い年月をかけて植物が腐敗した成分が湖内に残留している。 このことは、日々流入する生活排水の削減を柱にした現行施策の限界を示し、湖内対策を再構築する必要性を物語っている。 同センターでは実験室レベルで、酸化チタンを材料にした光触媒による溶存態CODの分解・除去を試み、成果を収めた。しかし、報告書のとりまとめにとどまっている。 |