| 漁業者間に水質不安
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| 霞ケ浦の漁業はかつてワカサギ、シラウオを中心にした「とる漁業」だった。昭和30年代後半に始まる、流域1964年度から小割式(網イケス)養殖推進の行政指導が行われた。当時、霞ケ浦の水ガメ化(水資源開発)が行政課題になっており、淡水化で海との交流が断たれ、一般漁業への影響が予想されていたことから、代替の漁業振興策という側面もあった。 64年から66年度にかけて県は養殖施設13カ所の設置費をバックアップ、玉造町の内水面水産試験場内には県営種苗生産施設を設置した。釣り堀ブームなどを背景に生産量は急増、76には約9千トンと全国一の産地になった。この間、73年夏から秋にかけて、藍藻(らんそう)類の植物プランクトン、ミクロキスティスが大量に発生、枯死時に水中の酸素を消費したことから酸欠による大量へい死事故が起き、その後もひん発した。より水質のよい沖合に網イケス施設を移す沖出しや自動的に空気を送り込むエアレーション施設の設置などで乗り切ってきた経緯がある。 現在、網イケスは約4千面、生産量は全国の半数強に当たる5千トンにのぼる。一面当たりの設置コストは網代、自動給餌機など約50万円、総額で約20億円ともいわれる装置型漁業の性格がある。今秋のKHV(コイヘルペスウイルス病)による大量へい死は、原因は異なるが、30年ぶりの規模の大きさになる。 県は、KHVの種間感染や感染経路、水質との関係にかかわる奥井氏の記述(3カ所)を不適切として、根拠とする資料・データを添付したうえで「問題点」を指摘した。 (1)「KHVは今のところコイだけらしいが、サーズのウイルスが、いろいろな動物の身体の中を通過して人間を襲ったように、いつ種の壁を乗り越えて、人間に到達するかわからない」(11月19日付)の記述について、99年11月の水産庁長官通知を根拠に「KHVはコイ特有の病気であって、コイ以外の魚は感染しない」と指摘。同通知によると「宿主域はマゴイおよびニシキゴイ」に限られる、コイ科特有の病気と認定している。 (2)「KHVの培養液は霞ケ浦の水」(同)との記述についても、「(KHVは)コイの細胞で増殖するものであり、霞ケ浦の水は培養液にはなり得ない」と指摘。農水省が設置した「KHVに関する技術検討会」委員を務める福田穎穂(ひでお)東京海洋大学教授(海洋生物資源学科)が94年度に行った魚病研修会の講義資料を根拠として添付した。 同資料によれば、「(ウイルスは一般に)自立的な増殖をしない。増殖は生きた細胞中でのみ可能。したがって、細胞性生物の合成系を略奪して増殖する以外には子孫を残すことができない」「例えば、ほとんどの魚類病原ウイルスは温血動物には感染しない。温血動物のウイルスであっても、例えばニワトリのニューカッスル病ウイルスはヒトには病気を起こさない」といった説明を引用している。 (3)「(被害拡大は)水質汚染などでコイの免疫力が落ちていたところに(KHVに)感染したのだろう」(11月26日付)との記述については、霞ケ浦よりも早く03年5月〜7月に天然コイがへい死した岡山県高梁川、吉井川水系を例にあげ「KHVは、国内で未発症の疾病であり、海外からの侵入により新たに発生が確認された。このウイルスへの感染は水質とは関わりがなく、たとえ、水がきれいであっても、本ウイルスが侵入すればコイに感染、発病する」と反論した。 高梁川水域の小田川上・下流、吉井川水域の吉井川上流の水質(BOD=生物化学的酸素要求量)は、環境省の類型あてはめ(各A、B、A)による環境基準(各2mg/L、3mg/L、2mg/L)に対し、01年度平均値は、各0.9mg/L、1.5mg/L、1.1mg/L。「汚濁が進んだ河川ではない」と県漁政課はKHVと水質との関係を否定している。 ◇ 漁業者は、最近の湖水に危機感をもっていた。白濁が続き、赤っぽい水の色になった。どういうわけか、イケスのコイの(エサの)食いが悪い。水に力がなくなり、一面当たり飼えるコイの尾数も減った。黄金連休のころから、常陸川水門への魚道設置について話し合いを続け、九月には、霞ケ浦・北浦両漁連が初めて連名で県と国交省に陳情書を提出した。 KHVが表面化した当初、漁業者の間では水質異変との関係が強くささやかれていた。補償をめぐる県や国との交渉の中で、次第にトーンダウンした。持続的養殖生産確保法の枠組みに乗せるためともいえた。 次回は、感染経路を中心に検証する。 |