−木内野球の夏が終わって−
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 甲子園練習のため1塁側ベンチに入る木内幸男監督=8月5日、阪神甲子園球場


 【試合から離れてのエピソードを紹介。開幕前の八月五日の甲子園球場を使った甲子園練習の直前に、木内幸男監督から過去二十回出場の経験から得た甲子園での戦い方や、「甲子園に潜む魔物」など興味深い話をうかがえた。木内監督の野球観を浮き彫りする、こぼれ話】
 ―甲子園での練習はわずか二十分と短いですが…。
 木内 グラウンドに足を着けるということが一番大事。ゴロが、土によって弾み方が違う。ゴルフでも景色によって距離が違ってくるのと一緒で、それを確認できるだけでも、ありがたい。十分でも二十分でも、甲子園で練習をやらせてもらえることはありがたい。
 一回でも甲子園の土を踏んでることで、(気持ちが)「上がる」確率は下がるからね。いきなり甲子園球場は、「ワー」となって上がっちゃうから。いっぺんでも(球場内に)入っているという安心感が与えられる。
 いいよー、ここは。至れり尽くせりだから。練習場や水は提供してくれるでしょう。そういう意味では、関東大会や県大会などほかの大会と比べても、ここが一番やりやすい球場だね。
 ―甲子園出場二十回目ですが、甲子園練習ではどういうところを重点に練習してますか。
 木内 今回、時間が二十分というのは初めて、三十分というのが普通だね。レフト線、ライト線でどんなクッションをするか。甲子園で難しいのは、オンザラインでのクッションなんだ。
 普通クッションは一回なんだよ、どこの球場も。甲子園では当たりどころによっては、ツークッションする。それで抜かれてしまうんだよ。甲子園で一番必要なことは、オンザラインでのツークッシォンされたのを、後ろにやらせないという訓練が先、外野はね。
 それと銀サン(屋根)との間に空間があるんだ。そこの空間にボールが入った時に見えなくなる。よく甲子園で「魔物がいる」と言っているのは、銀サンが60%ぐらい占めるんだな。
 おれのところも去年、夏に宇部商戦で八回まで3―0と勝っていたが、最終回に2発、見損なって2点取られたけどね。三年ぶりだね、そういう事があるのは。銀サン(屋根)との間に空間、すき間が空いていることが意外な影響を与える。これは経験しないと分からない。
 ―すき間の空の色で、ボールを見失ってしまうんですか。
 木内 ほんの少しなんだけどね。そこに入ったのが見えなくなってしまう。ホームから来る打球というのは目で追っていく。ところが不思議な事にセンターというは、一度も起こったことがない。全部レフト。うーん。これはどいう事なのかなぁと思っているんです。空いているのはほかにもある。ライトやセンターでも空いている。どこで起きてもおかしくない。
 どういうわけかおれらの経験からいくと、過去十九回で五本ぐらいレフトに見失われているんだね、ボールを。球が上がっているのに、下がっているんだよ。そこらに落っこちるからね。バカみないな話だよ。そういう事が実際に起きるんだよ、ここは。
 ―木内監督でさえレフトにだけに魔物が潜む原因は分からない?
 木内 うちはね、どちらかというと外野で一番下手なのはレフトなんです(小声で)。レフトはツーベース、ライトは下手だとスリーベースになっちゃうから。そのせいかは分からないが、おれの経験から五、六発、銀サンの影響がレフトで起こっている。


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