タ イ 5
ピサヌローク工業高等専門学校/青年海外協力隊
板橋国明さん(27)
「可能性試したい」と退職
生徒に日本語も教える




タイ好きから協力隊員になった板橋国明さん=ピサヌローク高専の職員室
 バンコクとチェンマイのほぼ中間に位置するピサヌローク。チェンマイに比べ、日本人旅行者はずっと少ない。以前はチェンマイ―ピサヌローク間に航空便もあったが、現在は廃止されている。
 道路の整備状況は地方でもかなりいい。チェンマイからピサヌロークまでは約三百二十キロあるが、車で四時間足らずだった。
 タイは職業教育に力を入れている。教育省が計画を立てて展開するが、ピサヌローク高専もその一翼を担う。高専は日本と同じ五年制で、同校には約五百人の生徒が学ぶ。
 青年海外協力隊の板橋国明さん=下館市=は昨年十二月からプラスチック射出成形技術を教えている。

 ■きっかけ■
 栃木県の小山高専を卒業後、地元の発泡スチロールメーカーに就職。五年間働いた後、タイ語を勉強するため、半年間、バンコクに行く。二十一歳の時に初めて行った国で、毎年のように訪れていた。
 親は「突然会社を辞めたため、びっくりしていた」らしい。きょとんとした様子で、強い反対はなかった。
 帰国して、同じ業種でプラスチック容器を作る会社に再就職。しかし、「平凡な毎日」に物足りなさを感じ、「可能性を試してみたい」と思っていた。
 「バンコクから戻り、協力隊のCMを見た。機会を与えてもらえれば」と昨年の春募集に応募。タイで「射出成形」というぴったりの要請があった。

 ■しごと■
 朝礼があるため、朝七時半には学校に出勤する。授業は週に二回、機械科の五年生を担当しているほか、四年生の実技も見る。
 射出成形はプラスチック材料を加熱して液状にし、金型の空洞部に加圧注入して形を作る方法。
 厚みや大きさによって送り込む条件が変わってくる。日本と違って専門的な本もない。原理は分かっていても実際に使う方法は分からない。細かいパラメーター、不良品が出た場合の対処法など、マニュアルには書いてないことも多い。
 学校では自主的に、興味のある生徒を対象に日本語を教えている。九月からは別の職業教育学校でも始まった。日本や日本語に対する興味は強いという。

 ■これから■
 はたから見ると、同僚らとタイ語で気軽に話しているようだが、「言いたいことがなかなか伝えられない」のが最大の悩みだ。専門用語が多いだけに、授業はタイ人教師に補足してもらう。
 「日本の専門書をタイ語に訳してくれる人がいれば」とも思う。しかし、任期が終わる来年十二月までには手作りのテキストを積み重ね、実際に使えるようなマニュアルとして残したいところだ。
 「将来はタイとつながりのある仕事がしたい」という思いは、タイに関係した人に共通する。タイ語を勉強して通訳をしたり、タイ料理レストラン、タイマッサージなどタイ文化を紹介する仕事もいいなと考える。

 【メモ】青年海外協力隊(JOCV):一九六五年四月にスタート。今年一月末現在で累計の隊員は約二万四千人に上る。現在、六十六カ国に二千三百六十一人が派遣され、うち女性が千二百六十人と過半数を占める。募集は毎年春と秋の二回。職種は約百四十職で募集人員は約八百人。資格は@二十歳以上三十九歳以下A自発意志と奉仕精神を持ち、協調性があるB語学的素養と適用力があるC単身で赴任できる―などが条件。派遣期間は原則として二年間。

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