カンボジア 3
農林水産省専門家
志間俊弘さん(48)
新制度の立ち上げ支援
減少する森林資源の保全




森林保全と野生生物の保護を担当する農林水産省森林局で政策立案を支援する志間俊弘さん
 地球規模の環境問題として、森林破壊がある。タイやフィリピンは森林面積が二割に減少し、深刻な問題になっているが、カンボジアは長年の内戦の影響などで空白があるため、森林資源は比較的残っている。
 森林面積は国土の六割、千百万ヘクタールある。日本のスギ・ヒノキのような産業用の人工林はごくわずか。しかし、農業の開発や違法伐採の横行で減少しており、どう食い止めるかが課題になっている。
 カンボジアに対する協力の八項目の重点分野の一つが環境資源管理。森林資源保全アドバイザーとして農林水産省森林局に派遣された林野庁の志間俊弘さん=牛久市=は六月二十日に着任したばかり。カウンターパート(相手方の担当者)の森林局長に政策立案をアドバイスする役割だ。

 ■きっかけ■
 福岡県生まれ。林野庁ではイタリア・ローマに本部のある国連食糧農業機関(FAO)の林業局勤務を経験したほか、一九九四年から九七年まで、JICAの林業プロジェクトでアフリカのケニアに赴任した。
 「二度の海外経験は、やりがいがあって面白かった。それはそれでいいことだが、日本は組織が非常にしっかりしている。海外の場合は自由裁量が大きく、一人でできる範囲が広い。予算はわずかでも日本の十倍の価値がある」。ケニアから戻り、海外勤務の希望を出した。カンボジアに空席ができ、二年間の予定で赴任した。

 ■しごと■
 カンボジアでは森林行政の基本となる森林法が改定され、コミュニティ・フォレストリーという新しい概念が規定された。地域住民が主体となって、森林を共有・共同管理する考え方で、村落やコミュニティーに住んでいる人々に森林を利用してもらい、維持管理してもらう。
 「法律はできたが、もっと細かい規則が必要。現場で実行に移さないと絵に描いたもちになってしまう」。森林局はこれまで森林の管理や監督を中心にやってきているが、コミュニティ・フォレストリーはコミュニティーと契約し、行政が一緒に取り組むことが必要。先行的に取り組んでいるところも二、三十カ所ある。しかし、職員は、新しい仕組みについて知識や経験が乏しいのが実情で、簡単には進まない。

 ■これから■
 「カンボジアにどのような政策課題があるのかを勉強している段階。現場を見たり、ようやく職員の顔と名前が一致してきた」という。
 ケニアに行く前、牛久市内に家を買い、帰国後に住んだ。
 着任直前まで林野庁で取り組んでいた仕事は「国民参加の森林(もり)づくり」事業。森林の整備・保全を林業者だけでなく国民全体の問題として考えようとする仕組みで、森林ボランティアの育成などに取り組んだ。
 県内では「いばらき森林クラブ」(中村栄三代表)が自治体などと協定を結んで活動しているが、この運動にも参加。阿見町や守谷市のフィールドで汗を流している。
 妻子を残し、カンボジアは単身赴任。「単身は初めてなので寂しいが、下の娘がメールをくれるので、それが楽しみ」

 【メモ】カンボジアへの支援:今年八月現在、カンボジアに派遣している技術協力専門家は、一年以上の長期五十三人と短期六人の計五十九人。このほか、青年海外協力隊四十二人、シニアボランティア三十七人の計七十九人がボランティアとして活動する。協力隊の二十七人、シニアの二十九人と七割は首都プノンペンに滞在している。一九九二年度から二〇〇一年度までの十年間の日本の支援は無償供与が七百六十二億円、技術支援が二百十億円、円借款が四十一億円に上る。

BACKHOME