カンボジア 5
保健省マラリアセンター/青年海外協力隊
山田光広さん(30)
SEとして情報処理
職員のスキルアップ支援も




「本当に必要なものを重視したい」と語る山田光広さん=プノンペンのマラリアセンター

 プノンペンのカンボジア保健省マラリアセンターは、WHO(世界保健機構)の主導でマラリアやデング熱など、蚊が媒介する熱帯性伝染病の撲滅活動として、伝染病のデータ収集、薬剤の配布などを行っている。
 システムエンジニア(SE)の山田光広さんは、青年海外協力隊として同センターに今年四月に赴任。同センターには財政的な問題からSEを置いていないため、情報処理全般を受け持ち、職員のコンピュータースキルの向上も含めて活動している。

 ■きっかけ■
 常総学院(土浦市)を卒業後、都内の専門学校でコンピューターを勉強。都内の大手コンピューター会社の子会社のソフトウエア会社に就職した。銀行の大型汎用機のOS(基本ソフト)の開発やメンテナンス、次世代携帯電話のシステム開発などを担当した。
 「企業はお金。お客さんの要望よりも、自分たちのお金のために、切り捨て型の仕事になってしまっている。それがいやだった。友人が西アフリカのニジェールに保育士として参加していたこともあって、自分も」と退社して協力隊に応募した。
 両親には会社を辞めたことも含め、合格してから知らせた。「やりたいことなんだから、いいんじゃないか」と理解してくれた。

 ■しごと■
 センターの職員は二十五人。情報をインターネットのホームページに反映させたり、職員のスキルアップのため、希望者にグラフ作成ソフト「エクセル」を教えたりしている。
 過程をあまり気にしない傾向が強く、コンピューターの調子が悪いと、すぐに再インストールしてデータを失っていた。最近はようやく、データをバックアップするようになってきた。
 「最大の問題点は語学力」と苦笑する。同センターにはWHOの関係で多くの外国人が入っているため、日本人が来ていてもあまり注目されることはない。
 「クメール語を話すと、今まで話したことのない人も寄ってくる。もっと語学力があれば、やりたいことが何でもできるのに」と思う。

 ■これから■
 センターにはSEがいないため、SEとしての知識や技術を直接伝えることはできない。帰国すれば元に戻ってしまう危険性もゼロではない。作業をマニュアル化して残すことが必要になる。
 エクセルを教えながら、「初めてのエクセル」のような手引き書のホームページ版を作っている。そうすれば誰でも見ることができる。画面を一個一個コピーしながら、分かりやすい利用書になるよう心掛ける。
 文化の違う人、なかなか理解できない人と接することで、「粘り強さ」を学んでいると実感。帰国後は「日本は発展してしまっていて、誰がやってもできる。ここでの経験を生かせるような、外国の発展を支えるような仕事ができれば」と考えている。

 【メモ】ODA(政府開発援助):発展途上国に対する資金的な援助で、JICAはこのうち無償資金協力、技術協力を担当している。日本のODAは一九九一年以降、アメリカを抜いて世界第一位と最大の援助国だったが、二〇〇一年は日本が対前年比28%減となったため、アメリカが首位に返り咲いた。日本は基本法を定めておらず、ODAの基本理念などは閣議決定の「ODA大綱」に基づく。九二年に決定された大綱が今年八月に改定され、ODA世界戦略会議の設置、人材・技術の有効活用のための「国際協力人材開発センター」(仮称)の創設、ODAタウンミーティングの定期開催などが盛り込まれた。

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