◇6◇ 皮算用

「不戦敗」も戦略のうち 次期参院選にらむ


 ◆渡りに船◆
 加藤真砂子氏を、自由党との統一候補と位置づけ、準公認扱いで支援した民主党も、当初は独自候補を模索していた。県連というよりも、政権交代を掲げる党本部主導で…。本部の公募候補だったが、表明直前に家族の反対で断念している。
 県連は、今回の衆参補選とも、独自候補擁立に熱心さが欠けた。三役らに積極性が薄い上、支持母体の連合茨城が、組織内候補を立てた取手市長選に集中。支援は得にくい。組織が弱く、自前で選挙も苦しかった。
 しかも、来年夏には参院通常選が控える。県連副会長を務める連合組織内議員、郡司彰氏が現職なだけに、「参院補選への候補擁立は筋が通らない」と連合側もけん制。衆院七区を含め、当初から後ろ向きの姿勢が目立った。
 そこに、急浮上したのが加藤氏。これも党中央主導型だったが、不戦敗のそしりを免れ、希望をつなぐのに最良の選択肢だった。「自由党との選挙協力、統一会派や合流の試金石になる」。渡りに船だったわけだ。

 ◆すみ分け◆
 民主党には当初、加藤氏に違和感があった。四年前の県議選で、自由党籍を持つ加藤氏を、連合茨城や公明党と共に推薦したが、二年前の参院選に自由公認で立候補。民主現職、小林元代表代行と対決したため、「裏切られた」との思いが強かった。
 しかし、二〇〇一年夏の参院通常選で、頼みの連合に衰退が見え、その後も民主党の退潮は止まらない。来年夏の参院通常選は、自民党の二人擁立がほぼ確実。そこに、加藤氏が前回に続いて立てば、郡司氏の議席維持に危険信号がともる。
 加藤氏も、参院選での得票は当選ラインの半分未満。前回総選挙・県内比例で、自由党は十九万八千票を得たが、自公選挙協力への反発から自民党支持者が一時的に浮気した結果だった。参院選で自民、民主の壁を崩すのは不可能に近かった。
 そこに、すみ分け論が浮上する。ある労組幹部は指摘した。「郡司さんは民由社、加藤さんも民由の統一候補が可能だ。郡司さんは、かなり優位な選挙を展開できるし、加藤さんも惜敗率を高め、衆院の議席を得る可能性が出てくる」。

 ◆軍師不在◆
 「こんな好機を逃すとは、今の民主党県連には軍師がいない。吉原(英一)さんを推せば、不毛の七区にクサビを打てるのに…」。県連が加藤氏の推薦を検討しているころ、連合茨城系労組の幹部にそんな声があった。
 「中村さんが復帰を目指す際、一番やっかいな相手は、自民党公認で当選した吉原さんだろう。土着政治家は定着しやすく、中村さんの出る幕がなくなりかねない。私が中村派なら、代理戦争で限りなく接戦を演じ、最後は永岡さんが勝つ作戦を練る」と。
 彼はさらに続ける。「一番いいのは、民主党の推す吉原さんが接戦をものにする場合だろう。次回は永岡(洋治)さんと三つどもえとなる。中村さんの復帰はそれが最も容易。民主が推せば(中村派は)水面下で動くよ。そして、われわれは支持を定着させればいい」。
 無論、あくまで机上の空論だが、公明党県本部の石井啓一代表は、一連の想定を聞いてこう言った。「そうならなくて良かった。その仕掛けをされたら、吉原さんが勝った可能性もある。政局になりかねない」。


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