◇10◇ 衆院選前哨戦

岡田氏が史上最多得票 補選で来夏通常選の票固め


 ◆空前◆
 四月二十七日午後八時すぎ、テレビに「岡田氏当確」の速報が流れた。山方町の開票に合わせ、テレビ局が自前調査で判断。他市町村が開票前だけに、違和感を持ちつつ、水戸市の岡田広事務所は、万歳の声と共に祝勝ムードが漂った。
 最終的に、岡田氏が得た票は七十一万七千を数える。これまで、県内の参院選での最高記録は、一九七五年の補選で郡祐一氏が得た約五十六万八千票だった。その記録を超えること約十一万票。空前の大量得票となった。
 他の全県一区選挙と比較しても、上回るのは一九六三年の知事選で、岩上二郎氏が得た八十一万六千票だけだ。参院通常選の最高は、二〇〇一年に狩野安氏が得た五十四万票。橋本昌知事は、九七年の五十八万九千票が最高だった。
 岡田氏は、県議選で二万八千票、水戸市長選が六万票と、全て記録を塗り替え、今回も記録更新を狙っていた。女性秘書は「目標は六十万票」、別の事務所関係者も「七十万票」を公言。目標達成し、「百万票いけたかも」の声さえ漏れる。

 ◆気配り◆
 告示前、結城市の永岡洋治演説会で、同市の平塚明市長が、永岡氏に触れずにあいさつを終え、握手を求める永岡氏に背中を向けた。市長は自分の会合に、岡田氏を呼んでも永岡氏は呼ばない。中村喜四郎・元建設相の影を見せつけた。
 だが、対応の差は他にも原因がある。ある自民党関係者は言った。「目線や腰の低さ、柔らかさが違う。県連大会も、一時間前に来て握手する岡田さんと、遅刻直前に壇上に来た永岡さんじゃ、会場からの拍手が三倍は違ったはずだ」。
 参院議員秘書上がりの岡田氏は、典型的な気配り型の政治家。自らも、「信条は御用聞き政治」と明言する。「自ら農業委員にまで、電話で選挙協力を頼んでいる。選挙で、彼に勝てる人はいない」。県内のある首長はつぶやいた。
 当選した夜、選対本部長の関宗長・党県連副会長は、「岡田さんの人柄が評価された」と強調。自身の市長選得票記録は今回、加藤浩一氏の七万八千票に抜かれたが、岡田氏の参院票のうち、水戸で八万二千票と加藤票を上回った。岡田人気の根強さを物語る。

 ◆衝撃と余波◆
 「(来年の参院選に)二人立てるなら、七十二万票はちょっと取り過ぎたな」。自民党県連幹部は、得票を見てつぶやいたが、岡田氏には一年後をにらむ前哨戦。大量得票は、来夏の勝利を担保する意味も持つ。
 来年、対決する民主党現職、郡司彰氏の前回得票は三十一万。岡田氏の票を割れば計算上、自民党二議席独占となるが、七十二万票のうち一定数は郡司氏に戻る。「岡田人気で、二人目の票が激減すれば、当事者の政治生命かも関わる」というわけだ。
 民主党県連は、別の意味で心配の種が増えた。「どうせなら、百万票取って欲しかった。岡田さんなら取れたでしょう。逆に、共産党の十七万票が怖い。野党票が割れると、自民党の二議席独占が現実味を増す」と。
 七十二万票は、岡田人気だけによるものではない。自民党県連などが、総力を上げた結果でもある。「かつて、竹内(藤男・前)知事は、参院で五十三万取った種田誠氏を恐れた。知事選前に神経戦があるかも…」。そんな声も聞こえる。


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