◇17◇ 薄氷の圧勝劇?

水戸市長選、加藤氏に水面下の反発 無投票回避した水戸市市長選


 ◆史上最高も…◆
 水戸市長選は、前県議会議長の加藤浩一氏が、圧倒的得票で念願の初当選を果たした。得票は七万八千九十二。共産党新人、小室たか氏に六万一千五百票差をつけ、岡田広氏の持つ六万票の記録を更新した。
 とはいえ、喜んでばかりはいられない。同日選挙となった参院補選の水戸市分で、岡田氏は八万二千百九十二票を獲得した。その差はちょうど四千百票。ソフトで女性受けする岡田氏、無骨で横柄と誤解される加藤氏の差でもある。
 しかし、二人の得票を分ける要因は、他にもあったとの説がある。「笠原に計画中の巨大商業施設だよ。加藤さんは開発業者と親しい。中心商店街や下市など、旧市街地の支持者に反発があったようだ」。ある市議はつぶやいた。
 「隣町と合併しても、エリア人口や商圏人口は変わらない。郊外に巨大施設ができたら、我々は消費者を奪われて壊滅する。今だって、県庁移転と南口開発で四苦八苦なのに…」。商店経営者らの嘆きが、二人の票差に影響したというのだ。

 ◆クーデター未遂◆
 既存商店街の反発を背景として、クーデター計画も練られていた。当初、うわさされたのが複数の若手市議と弁護士ら。次いで、実業家らの名前が挙がった。「有力者が出れば勝てる」。市議会でも、そんな声が上がっていた。
 それでも、加藤氏の大本命は変わりない。本来なら、三期前に転出予定だったが、岡田氏に先を越され、前々回と前回も岡田氏の参院選、知事選転出がなくなり、ズルズル先送りされたが、地元への思いは変わらない。満を持していた。
 そのさなか、一月二十日に加藤氏が県会議長へ就任。ハクつけ人事批判が水面下に起こる。「断るべきだった。『市長選に出るから』と断った方が格好いい」。市議会の市長与党には、今でもそんな声がある。
 一方、別の解釈も聞こえた。「将来の幹事長と市長。自民党県連は、加藤さんに選択を迫ったらしい。ぜいたくな悩みだが、巨大商業施設に絡み、支持者に『市長転出は筋違い』の声もあった。議長就任は、それも影響しているのでは…」。

 ◆直前立候補◆
 今回は、直前まで無投票がにおった。共産党の出方も微妙で、党県委員会も「苦しい」を連発。市議会筋や市役所内でも、「共産党が出さないと無投票だ。県都の市長選がそれでいいのか」。四月初旬までそうささやかれていた。
 「(共産の)中庭(次男)さんは、商業施設問題を全く追及しない。以前、この問題は共産党が激しく迫った。今回は、市長選に対抗馬を出す気はないんだよ。厳しく追及しては、出さざるを得なくなるから」。そんなうわさが市議会に流れた。
 ある市議は解説する。「あちこちで定数削減され、党勢の維持・拡大が大変だからね。衆参補選が年二回に集約され、今回は茨城で二つ重なり、戦力が分散してしまって苦しい。市長選だって、岡田さんの参院転出に伴うものだし…」。
 結局、保守系の対抗馬擁立が不発に終わり、四月九日に小室氏が、「無投票当選はさせない」と出馬表明した。市議選、参院補選と連動させ、市長選では同党候補としては過去最多の一万六千五百票を獲得。市議選も目減りを抑え、票割りで四議席を死守してみせた。


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