◇21◇ 転 身

速くも県議選転出説 大量票の市議にうわさと自信


 ◆記録破り◆
 水戸市議選で、県内の常識が一つ破れた。高橋靖氏が五千二百五十三票と、県内の市議選史上初めて、五千票の大台を突破して見せたのだ。もともと、高橋氏は県議選転出に意欲を持つ。県議会への切符を手にしたと言ってもいい。
 高橋氏は初当選以来、三回連続でトップ当選した。前回の四千五百票も過去最多だが、五千票超えは驚異的とも言える。同じ旧常澄村の現職一人が勇退。その分の上乗せがあるにしても、それだけで説明できる数字ではない。
 鳩山邦夫・元文相の秘書出身。元芸能人の(高木)エミリー夫人が、今回も応援に駆けつけた。人当たりもいい。旧常澄出の保守派だが、市全域やJR東労組ら、幅広い層の支持を集め、旧新進党関係者が「衆院でも…」とした人気を誇る。
 親分筋の加藤浩一氏が今回、県議から水戸市長に転じ、県議に転出する障害はない。「県議選で当選は固いはず。一年四カ月後の補選か、三年半後の本選挙は分からないが、県議選転出は間違いないだろう」。ある関係者はそう言った。

 ◆予備軍?◆
 転出のうわさは高橋氏に限らない。例えば、水戸市議会で三回連続二位の佐藤光雄氏。東京電力労組出身で、他の連合系労組幹部らは、以前から「出れば当選間違いない」とする。本人は否定するものの、水面下の有力候補には違いない。
 佐藤氏は初当選の時から、高橋氏とトップ争いを繰り返してきた。やや差が開き、目標の「四千票」に届かなかったものの、それでも前回よりやや票を伸ばしている。三千九百九票は、他の同僚議員を圧倒する得票と言っていい。
 東電労組は以前から、「県議はつくらない」としてきた。それでもうわさが絶えないのは、得票力だけが理由ではない。「水戸市議会は伏魔殿。一期目から、政争に巻き込まれて苦労した。嫌になる時もあるはず」。同僚議員らはそう推測する。
 市町村議の転出先が県議会とは限らない。首長選転出のうわさもある。例えば、水海道の高杉徹氏。「二千票」の目標は未達成だが、長谷川典子氏が県議に転出したこともあり、念願のトップ当選を果たし、「次は市長」とする関係者は少なくない。

 ◆転入◆
 転出がうわさされる人がいる一方、県議選に敗れて出戻りした大物市議、県議選から市議選に転身した若手もいた。日立市議会の実力者、内山英信氏は出戻り組、水戸市議に初当選した社民党新人、玉造順一氏は転身組の典型と言える。
 内山氏は、日立市議会の元議長。昨年暮れの県議選に立候補して惜敗した。去就が注目されたが、約二千八百票を得て十二位で当選した。選挙後、市議会の保守系が合同。「一方の実力者が、県議に転身した影響もある」とささやかれる。
 玉造氏も昨年の県議選で苦杯をなめた。四年前も口説かれたが、立候補表明間際で断っている。十二月が初挑戦だったが、民主党との間で調整できず、両党が候補者を立てたことで、連合系労組ら支持層も割れて落選した。
 水戸市職員組合幹部が言う。「『県議選の票が残っていた』は間違い。市町村議選は末端まで系列化され、浮動票がないので国政・県議選より困難。組織票も限られているし…。出処不明の票もある。次へ向けて固める必要がある」


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