◇24◇ 安定志向

信任投票、無投票も続出 現状維持望む民意か


 ◆政争疲れ?◆
 選挙結果の総括には、「安定志向」という言葉が浮かぶ。要因はいろいろあるが、衆院七区補選や茨城町長選は、権力闘争が長引いたことに、嫌気がさした有権者の意思が見え隠れする。「政争疲れとも言える」。そんな指摘も少なくない。
 衆院七区は、二〇〇〇年の総選挙以来、自民党県連の山口武平会長と、中村喜四郎・元建設相の抗争劇が続く。中村派県議の五人が、県連が立てた永岡洋治氏を推さず、選挙後に査問され、県議会の控え室を別にされる制裁を受けた。
 昨年の県議選は、中村氏が攻勢に出た。山口会長の地元、岩井市などへ対抗馬を擁立。水海道市では、中村派に凱歌(がいか)が上がった。七区補選では、吉原英一氏を支援して、一気に雌雄を決しようとしたが、山口会長陣頭指揮の組織戦に敗れた。
 茨城町長選も、議会や町幹部、町職員組合との対立に終始した現職の木村睦氏を新人の佐藤順一氏が破った。「政争は住民の利害に無関係。どちらの選挙も、有権者の本音は『いいかげんにしてくれ』では…」。県央の自治体幹部は言う。

 ◆合併が後押し◆
 市町村合併が、現職町村長を後押しした例もあった。山方町長選と七会村長選、新治村長選は、新人候補が合併相手の変更を訴えて挑戦。山方、七会は、現職が大差で新人を退け、新治は新人が小差で初当選を果たした。
 三町村長選とも、争点は合併の方向だが、現職の二勝一敗に終わった。ある事情通は言う。「世論の違いが出た。結果は、住民が合併をどう受け止めているかの違い」。
 市町村合併の政治力学はほかにもある。合併の方向が固まる中で、現職が圧倒的に強いと、選挙を戦うだけの意味がない。十王町長選では、現職の和田浩一氏が無投票で再選。日立市との合併を前に、戦いを挑む対抗馬がいなかった。
 和田氏は、初当選した四年前の選挙も、新人同士の一騎打ちに圧勝している。今回は現職の有利さがあり、既定路線の合併も後押しした。「町議会も合併推進。今さら町長になっても、すぐ失職してしまいかねないし」との解説もある。

 ◆無風◆
 「安定志向」は、有権者の意識に限らない。政党なども同様だった。首長選で目立つ相乗りは、無風の信任投票的な選挙を生む。それが行き過ぎると、無投票となって有権者の選択肢を奪う。  今回の統一地方選をみると、政党離れの傾向もあり、明らかな「相乗り」は、日立市長選の樫村千秋氏、十王町長選の和田氏が、自民、民主、公明、社民各党の推薦を得ただけ。合併相手の二人だが、仲良く無投票で再選された。
 国政選挙でも、「相乗り」と通じる動きが。岡田広氏の参院補選出陣式には、自民党の山崎拓幹事長と、公明党、保守新党の与党幹部が顔をそろえた。壇上ではないが、野党の社民党県連元幹部も出席。事実上の「信任投票」だった。
 地方選でも、水戸市長選も事実上の信任投票だったし、利根町長選、波崎町長選、美浦村長選は無投票。現職が逃げ切った古河市長選、水海道市長選も、現状維持の選択と言っていい。「変革より安定」の民意が見え隠れする。


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