連載 市制60周年 土浦の胎動

第1部 中心市街地活性化

E市庁舎移転計画

PFI手法で実現目指す

 「中心市街地への市庁舎移転の早期実現こそが、土浦市活性化の最重要課題」
 九月定例市議会の開会にあわせ、土浦商工会議所(神林正雄会頭)など商業関係の三団体が、議会に約五千三百人の署名を集め、陳情書を提出した(十九日の本会議で不採択)。
 「中心市街地活性化基本計画」は、中心市街地への市庁舎移転計画の検討を位置づけた。今年四月に同計画策定委員会の熊谷良雄委員長が、助川弘之市長への策定に向けた提言の中で「市庁舎移転を進めることが中心市街地活性化につながる」と結論づけたことを受け、強く要望したものだ。
 昨年十一月に行われた市長選を契機に急浮上した市庁舎移転計画。市長選で、助川市長は「中心市街地には良好な居住環境の整備と住機能の集中による人口の誘導、業務機能の誘致などが極めて重要。その方策として市役所の中心市街地への移転を検討する」と訴えた。その手段がPFI(民間活用による社会資本整備)手法の活用である。
 基本計画策定委員会初会合の際、委員からは「活性化には市庁舎の移転しかない」との意見が出され、熊谷委員長の提言には「昼間人口の増加や行政サービスの利便性向上などの効果が期待される」と盛り込まれた。
 同市下高津の現庁舎は、一九六三年に建設された。近年は老朽、狭あい化が進み、増築や一部部署の他庁舎への移転などでしのいでいるのが現状。このため八四年、庁内に庁舎建設検討委員会を設置、移転など本格的な検討に入った。九四年には市議や学識経験者らで建設場所を決める市長の私的諮問機関「庁舎建設懇談会」が、提示された十四地区から@現在地A新川北岸B佐野子市民運動広場C川口運動公園D瀧田E真鍋二丁目F中央一丁目―の七地区を建設候補地にあげた。
 一方で、同市は条例を制定して八九年度から毎年三億―六億円を建設基金として積み立ててきた。九六年度には約四十一億六千万円になっていたが、税収の目減りや駅前再開発事業など大規模開発を抱えていたため、九五年九月に助川市長は、市庁舎建設の先送りを明らかにした。同三月には庁舎建設審議会条例を制定したが、凍結によってこれまで一度も開かれていない。九七年度からは基金積み立てを休止、市庁舎を土地、建物ともに自前で建設するには二百億円以上が必要になるといわれるなか、同市は大規模事業の見直しで、自力建設を事実上断念する方針を打ち出した。
 同市は昨年度、国の補助を受けて市庁舎などのPFI導入について調査、研究し、一般財源での従来型整備と比較した。その結果、PFI手法は、自前で建設費などを必要としないため、「二年程度の準備期間があれば建設可能」(同市企画調整課)であることが分かった。九月定例市議会の一般質問で、同市市長公室の廣田宣治室長は「従来型建設と比較して九億円の節約になる」との試算を明らかにした。
 庁舎建設懇談会が示した建設候補地のうち、中心市街地に位置付けられるのは「中央一丁目」だけだが、高橋恵一助役は「当時とは状況が違う。懇談会が示した候補地は尊重するが、絞り込みはできない。自主財源などで建設する手法に含みをもたせながら進めていきたい」と話す。
 庁内には「中心市街地への市庁舎移転は、駐車場の確保や道路、交通問題などがネックとなり難しい」との見方は根強い。言い換えれば、中心市街地に近い候補地を推すとも受け取られるが、議会内からは「イギリスで生まれたPFI手法がうまくいくとは限らない」との声も聞かれる。
 いずれにしても、PFI手法での中心市街地への市庁舎移転を公約に掲げて四期目の当選を果たし、「任期中にはめどをつけたい」と、当選後の記者会見で表明した助川市長の意向が、残された任期の中でどう反映されるのか。現庁舎は阿見町との合併を視野に入れて整備されたといわれる。当然、周辺自治体との合併を意識した候補地の選定をしなければならないのは確かだ。 (第1部おわり)
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