アド ハズム(イラク共和国)

母国のインフラは壊滅状態
通称はイラクで、中東・西アジアの国で、首都はバクダッド。サウジアラビア、クウェート、シリア、イラン、ヨルダンと隣接し、古代メソポタミア文明を受け継ぐ土地にあり、世界で三番目の原油埋蔵国。日本の約一・二倍の面積があり、人口は約二千七百十万人。

私は、北部のモスル市からかんがい排水・農村開発のコースで約十カ月の研修を受けます。本国では、北部のモスル市水資源部かんがい技術者として働いています。この地方は四月から九月に農作業が集中しますが、この時期は降雨が少ないのです。そのため、農業用水をチグルス川から引くようになるのですが整備が進んでいません。

主な農作物は、小麦、大麦、ジャガイモ、トマトです。宗教上、食べ物に制約がありますが、主食は小麦でチキン、ヒツジなどの肉も食べます。米も食べますが、日本とは料理の方法が違います。日本人は豚もアルコールもたしなみますが、文化の違いだから気にしていません。それにしても日本のご飯はとてもおいしいです。

日本には初めて来ましたが、ハイテクノロジーと人々の礼儀正しさには驚きました。外国は、ヨルダンしか行ったことがありませんが、友人などの話を聞いても、こんなに治安が安定した国はないと思います。イラクは、戦争で物資が不足しているので、鉛筆一本でも日本のように気軽に貸し借りできません。

戦争でかんがい設備も壊されて使用不能でメンテナンスもできず、担当部門があっても機能していません。とにかく、インフラがメチャクチャの状態です。暑い時は四〇度から四五度になりますが、冷房装置も電力事情が悪いので思うように稼動しません。

日本も第二次世界大戦で大きな犠牲を払いましたが、今では復興を果たし生活水準も向上し、識字率も高く文化も優れています。イラクがそのレベルまで達するには長い年月を必要とします。あと何年ぐらいとは言えません。とにかく、戦争を早く終わらせて政情を安定させることが先決です。今の状態では予測などできません。

数週間前に姉の夫、叔父二人、親戚二人計五人が戦争の犠牲になりました。日本では考えられないでしょうが、毎日のように砲撃の音を聞いて生活しています。妻と二人の子供を残しているので、毎日がとても不安です。そんな政情が安定していない状況で、多くのイラク人の中から選ばれ、日本に研修に来られたのはアラーの神のおぼしめしだと感謝をしています。

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