株式会社ベストシステムズ 代表取締役・西克也さん

『コンピュータはどこまで速くなれるのか』

「社会貢献」を座右の銘とする西社長
ゴールドの丸いプレートが社長室の片隅に飾られている。株式会社ベストシステムズ代表取締役・西克也(一九六二年生まれ)が、一九九六年、クレイ・リサーチ社つくば・東北支社勤務時代に、世界中の同社セールスの中から成績優秀者がハワイに集められ、表彰された時のものだという。しかし、このハワイ旅行は、西にとってはリゾート気分を吹き飛ばす、人生の岐路への旅立ちとなったのである。

ハワイ滞在中に、クレイ・リサーチ社が米国シリコングラフィックス社に買収されたとのショッキングなニュースが世界中を駆け巡ったのである。外資系では珍しくないことだが、この時の西には「もうコリゴリだ!」との強い思いが芽生えていた。西が最初に就職したのは、米国の大手半導体メーカー、フェアチャイルド社であったが、ここが、就職して一年半で、企業買収で消滅して以来、二度目の挫折であったためだ。

「またか、の思いとともに、いくら頑張ってみたところで、しょせん、自分の人生は他人任せの状況。これを何とかするには、自分で起業するしかない。幸い三十五歳であった当時、子供は小さく、まだ教育費に窮々とするまでには多少の猶予がある。四十歳までやってダメならまた就職すればいい」との決断で早速ビジネスプランを描いて、一年半で百人の業界人の意見を聞いて回った。いきなり出資を申し出てくれる人まで現れ、創業に到ったとのことだ。

「第一号の受注も、つくば人脈からもたらされた。だから、東京オフィスのウエイトが増えても決して本社はつくばから移さない」し、国家戦略でもあるグリッド・コンピュータの中核企業として産総研発ベンチャーの認定も受け、同所のつくば産学官オープン・スペース・ラボに陣取り、IPO(株式公開)にも備えている。

電力を無駄なく使うのと同様、ネットワークで結ばれたコンピュータの余力を結集して、ハイパフォーマンスコンピューティング、つまり気象予測や流体力学などの高度科学技術計算に活用しようというのが、グリッド・コンピュータの考え方である。

天才シーモア・クレイが遺した『コンピュータはどこまで速くなれるのか』のテーマを追求し続け、その成果が、我々のデスクに載ってくる日もそう遠くないことを予感させる彼らの挑戦である(二〇〇〇年には、米クレイ社も複雑な道筋を辿って復活を果たしている)。

座右の銘は、フェアチャイルド時代に社是としてたたき込まれた「社会貢献」。「みんなが幸せにならないと意味がない。でもそのためには、まず、自分が幸せにならなければ、他人を幸せにはできないのだ…」

拡大を続けてきた同社も、昨年から今年初めにかけて、リストラを断行せざるを得なくなった。リストラする社員のための再就職先を必死に探し回り、大方探し終えた時、初めて、西が経営者の本質的な意味を自分自身に問うた言葉だ。(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)
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【会社概要】本社・つくば市梅園1丁目1番地1。1998年2月9日設立。資本金・7627万5000円。ハイパフォーマンスコンピューティング環境における先進技術の提供。http://www.bestsystems.co.jp/

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