プラネット・システム代表取締役・速水智子さん

起業目指す女性たちにエール

ブロードバンド時代の到来で、大きく花開いた速水さん
都内の家政学部の生活美術科で陶芸を学んだという速水は、研究者と結婚して、つくばで専業主婦生活を送っていた。子供の手が離れてきた時、ふと、この先の長い人生に想いを巡らせた。「手に職をつけよう!」。保育士の資格なら通信教育で取れそうなので申し込もうとしたら、夫から『自分の子育てが苦手な人が、よそ様のお子さんを育てるなんてとんでもない。それより、これからは情報化時代だから、コンピューターをやれば自分の会社を持つ事も夢じゃない』と言われ、急に希望がわいてきた。

一九八七年、『筑波研究学園専門学校』の開校を新聞で見つけて、早速、入学を申し込んだ。校長が、大卒のキャリアを評価して一般教養を免除してくれた。コンピューターの仕組みの面白さに夢中で、二年間があっという間に過ぎた。就職活動を始めたら、夫のアメリカ赴任で一年ピッツバーグへ。帰国したころ、パソコン時代に突入。

ソフト会社にしばらく勤めた後、「自分の意志で一生涯に渡って仕事を続けるには、自分の会社を持つしかない」と、一九九三年、プラネット・システム有限会社を設立。その心は「お客様は太陽、自分が惑星のように回って、パソコンで困っている多くの人を助ける」。機種選びから導入、セットアップまで。『エグゼクティブのための法人出張研修』と銘打ってDMを出しても、何にも反応が無かった時代。細々と営業を続行。

やがて、インターネットの黎明期。一九九六年には早くも、つくば研究支援センターで、県内初のインターネットセミナーを企画。ようやく三十名集めた。当初は、旅の一座よろしく、最新の機材を抱えて茨城県南を回っていたインターネット出前研修は、しかし、時代の波に乗って急成長。パソコンスクールを開校するまでに至った。

「売上げが増え、調子に乗って、お店を広げすぎた。拠点もスタッフも増やし過ぎた。それが失敗第一号」。先鞭(せんべん)をつけた自負はあるが、管理仕切れなくなった。このままではいけないと、小さくして一人になって、自宅のSOHOへ。

もう一度、「量から質へと、充電していた」ら、以前、スクールの看板を見ていた茨城大学の先生から、『大学でパソコンの講義を始めるけど、教えられますか』と。完全に任されたので、夢中で教えた。二〇〇一年度、茨城大学推奨授業の学長賞を受賞。

人間万事塞翁が馬。「インターネットは、生活者の視点で」との発言が受けて、茨城県の『高度情報化推進懇話会』の委員に大抜てき。公文俊平委員長のもとで会議を重ねた。「一人で自宅オフィスという事で、経営者としてコンプレックスを感じながら」も、徐々に自信が戻ってきた。「停滞期は、冬眠というか、仲間とで勉強しようと、毎週、勉強会を開いた。そして、スタッフのレベルを上げ、理念を磨いた」。突然、ブロードバンド時代の到来で、ネット社会が開花。県内各所から研修会の依頼が殺到。再び快進撃である。

この経験談を、筑波学院大学で『起業論』、茨城大の大学院特別講義で『ベンチャー論』として講義した。理事を勤めるNPOつむぎつくばでは『e女性おしごとアカデミー』を展開して、仕事を始めたい女性を支援。

昨年は、体調を崩したので、少しペースダウン。「企業は乗り物。自己実現のために自然に勉強ができる。ハイリスク型のベンチャーではなく、ゆっくり小道を進めば、思わぬ発見がある」。延べ一万三千人がプラネット・システムの研修を受けたとのIT部門の実績で、茨城県の『男と女のハーモニー功労賞』を橋本知事から貰った。

「なんだか気が楽になった。これからは、サポート側に回る。今春には『ユビキタス時代の起業講座』という本を出版予定」。世の女性たちに、起業へのエールを送り続ける。(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

【会社概要】本社・つくば市松代4の6の27。1993年4月1日創業。資本金・500万円。ITコンサルティング、「小さく始める起業」支援事業、IT技術講座、セミナー企画。http://www.hayamizu.jp

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