つくばケアサービス代表取締役 安藤真理子さん

子育てしながらでも働ける職場を作りたかった

介護保険の抜本的見直しを来年に控え、打開策を探る安藤さん
日産自動車本社の経理部門を経て、二十五歳の時、英語力を生かして筑波万博の博覧会協会外国館担当コンパニオンを務めた。その後、ライオンズマンションの大京で社長秘書になり、大企業の経営現場の迫力を目撃した。それもプラスになっていると、つくばケアサービス有限会社の代表取締役・安藤真理子(一九六〇年生)は、当時を振り返る。

結婚を機にOLを辞め、専業主婦生活へ。二人の子供に恵まれ、子育てに追われる毎日が続いた。子供が小学校に上がるころ、パートでも始めようかと考えた。しかし、「子供がいるので自分は働けない。もしかして、それで困っている主婦がいっぱいいるんじゃないか」

子供がいても、仕事ができる職場を作りたかった。同じ境遇の主婦のために。そして、社会の中で自分の存在を確認したかった。福祉の中でも高齢者にかかわる仕事がしたいと、ヘルパー二級を取得。介護保険が創設させることを知り、それを見据えて会社を設立。その会社設立の翌年、二〇〇〇年四月に介護保険が始まった。設立時は正社員一人、パート一人。現在は、パートを含めて四十人の大所帯に急成長。

高校の時、家業が倒産の憂き目に合う。そのつらい時期に、心の支えとなってくれていたのが同居していた祖父母だった。その祖父を家で看取れず、その後、祖母は自宅で送り出すことができた。この時の経験が、安藤の根底に、福祉事業の意味という形で、深く刷り込まれたのだろう。

介護保険の抜本的見直しを来年に控え、今後、軽度の家事援助は厳しく査定される。茨城県は介護保険の利用者率が全国最低。介護保険の認知が高まり、やっと最近、利用者が増えたのに。

業務が減ってしまうかもしれないが、「リストラなかんしたくない!」。来年四月に向かって、現在、打開策を探っている。夢は、厚労省も推進している、『小規模多機能型高齢者向け住宅』(デイサービス、ショートステイ、クリニック、時間制託児ルーム、本社機能も入る)の建設である。

高齢者の85%は自立している。子供が独立して、連れ合いに先立たれ、家はだだっぴろい。不安になってきて、でも、子供たちのところには行けない。突然、老人ホームに入るか、グループホームに入るか。選択肢が少ない。

通常の賃貸住宅では、入居者に何かあっては大家も困る。「在宅には、こだわりたいが、アパートであっても良いではないか」

この仕事をやっていると、広い家に独りで住んでいる高齢者は、意外に多いという。

ヘルパーは、社会貢献の意識が強い。老人ホーム等の施設で働く人は若い人が多く、体力勝負。訪問介護では、ヘルパーの人生経験が活かせるので、安藤は、六十歳以上のヘルパーも歓迎している。

ヘルパーの生きがいが、そのまま、利用者の感謝につながる時。利用者が、自宅で暮らせなくなってホームに移る際、本人からの感謝の気持ちを伝えられた時。終末医療の家族が、最期を家で看取れたとの感謝の気持ちを伝えられた時。安藤が、最も幸せを感ずる瞬間だ。

「強く願えば、夢はかなう」。そうあってほしい。九人一組のグループホームには認知症の高齢者しか入れない。有料老人ホームは、多額の資金が必要。中間の、居場所がない人のために、安藤のいう『多機能高齢者向け賃貸住宅』ができることを祈るばかりだ。

インタビューの後、老後に備えて、思わず、入居予約の手付けを置いて帰りたい衝動に駆られた。(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

【会社概要】本社・土浦市大町10の17。電話029・823・3818。1999年10月18日創業。資本金・300万円。訪問介護サービス事業、身体障害者居宅介護等事業。http://www.t-cs.jp/

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