NPO法人つむぎつくば

「つくばベンチャー大賞」と「ポケモン」

「つくばベンチャー大賞」創設が発表された「つくばベンチャーの夕べ」
つくば発ベンチャー企業の社長を中心に、百人を超える関係者が、六月二十九日、つくば研究支援センターに集まり、『つくばベンチャーの夕べ』が開催された。『つくばベンチャー大賞』創設の話題で、会場は異様な熱気に包まれた。

岡田孝夫・つくばベンチャー協会代表(株式会社生体分子計測研究所社長)が、『つくばベンチャー大賞』実行委員長として、その創設のあいさつ。平井寿敏・産業総合技術研究所企業・大学連携室長、坂本達夫・茨城県商工労働部産業政策課長、滝本徹・内閣府参事官(NPO法人つむぎつくば理事)のスピーチで、ここ数年繰り広げられてきた、つくば発ベンチャー起業振興の意義が再確認された。

記念講演の講師の真野博司・株式会社産業立地研究所代表取締役と中石斉孝・経済産業省立地環境整備課産業クラスター計画推進室企画官が、それぞれの立場から、我が国の産業振興の中で、つくば地区の果たすべき役割が、いかに大きいかを力説した。

さらに、『つくばベンチャー大賞』選考委員長の、高木英明・筑波大教授(NPO法人つむぎつくば代表)が、大賞の募集要項を説明した。これまで、科学技術振興と産学官の研究交流が、その中心的役割であった『科学の街・つくば』から、正に『ベンチャーの街・つくば』への、街づくりの方向性の大転換を予感させる一夜であった。

話は変わるが、一九七八年四月に、筑波大の学生企業・チーム社が創刊した、筑波研究学園都市情報誌『Open』では、編集長の石原恒和が、円地美出夫(マルチビデオ)のペンネームで、研究所訪問記を連載していた。『イカの神経細胞』の研究をしていた電総研の名物研究者・松本元を最初に取材したのも『Open』であった。『Open』は一九八二年には、廃刊となり科学博向けの『つくば万博トリプルガイド』に姿を変えベストセラーとなった。当時は、しかし、研究所の研究成果がいくら位で売れるかなど一度として話題にならなかった。

筆者は、このつくば史上初の雑誌の発行人を務めていた。創設期のつくばは、まだ荒野でお店が少なく、ロードレーサー(自転車…)で土浦まで行き、霞月楼、小松屋、江ケ崎家具センター…など数えきれない程の老舗の広告を戴いていたものである。最近、このコーナーで連載し始めて、前回までで三十回。毎週、つくば発のベンチャー企業の社長たちをインタビューしてきた。この中では、研究所の研究成果が商品となり、ベンチャーの社長がその値段を、ハッキリと答えてくれるのであるから、時代は変わったのである。

TX開業を来月二十四日に控え、なんとなく騒然として来たつくば市である。ただ、今回は、万博と違い、終わりの無いイベントである。テープカットは、華やかに行われるであろうが、それは、長い長い日常の始まりにすぎない。やはり、元気のいいベンチャー企業が、沿線に立ち並び、爆発的な雇用や外注を産み出してくれなければ、街の繁栄はあり得ないのだから。勢いを付ける意味でも、今回の『つくばベンチャー大賞』が、その切っ掛けになってくれれば幸いと、関係者の一人として祈るばかりである。

ちなみに、筑波研究学園都市情報誌『Open』の表紙のイラストを描いていた山崎典子は、作家犬丸りんとなり、NHKの超人気アニメシリーズ『おじゃる丸』を書いている。カメラマンだった畠山直哉は、写真の芥川賞といわれる『木村伊平衛賞』を受賞。レイアウト担当だった鈴木成一は、日本装幀大賞を受賞し、村上龍の最新作『半島を出よ』など、年間数百点のブックデザインをこなしている。また、誌上に四コマ漫画を連載していた森川幸人は、フジTVの伝説の子供向け番組『ウゴウゴルーガ』を描いて伝説の人となった…。

約三十年前、石原恒和は『Open』編集長として、これらの学生クリエーターの力を結集し、創設されたばかりの筑波大に導入されていた高額の最先端ビジュアル機器をも駆使して、タウン誌作りに挑んだのだ。

石原は筑波大大学院卒業後、ゲームクリエーターに転じて、最近では、あのポケモンを、最高責任者としてプロデュースした。現在、株式会社ポケモン代表取締役社長。ポケモン関連商品の全世界での売上げは、一説には、数兆円にも及ぶと言われる。その消費税分だけでも、筑波大の年間運営費五―六百億円を楽にたたき出していて、文科省は、充分元を取ったという珍説もささやかれ始めている。ベンチャーよ永遠なれ!(花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

 問合わせ先つくば市千現2の1の6。つくば研究支援センター友部宛。電話029・853・6033。 http://www.tsumugi.org つくばベンチャー大賞 http://www.tsukuba-tci.co.jp//v-taisho

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