![]() ナノフロンティア 代表取締役・津田薫さん |
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「水上スキー」と「キャズム」
「縁起を担いで下駄箱の番号や札番は必ず一番を選ぶんです。この分野でも、どうしてもナンバーワンになりたい」と、日焼けした笑顔で、さりげなく語る。学習院時代は、経済学を専攻。順当に、総合商社トーメンに就職。レアメタルなどの非鉄金属を扱い、ワールドワイドのビジネスの仕組みを、まず体得した。 十年目で、外資系IT企業にトラバーユしたが、「プログラミングは、どこかのめり込めなかった…」。次に、高圧ポンプを利用して物質を細かく砕く超微細化装置に惚れ込み、そのメーカーへ再転職。文系だった津田が、完全に理転した瞬間だ。 やがて、一台六百万円ほどの超微細化装置を販売するより、その装置を活用して新素材を開発しようと、自ら起業したのだ。ターゲットはカーボンナノチューブ。約十五年前に発明され、夢の素材と注目を集めたが、「リチウム乾電池の電極以外には、まだ本格的な製品化は進んでいない」という。 細かく切断して分散し、樹脂に均等に混ぜれば、少量のカーボンナノチューブで、電気を通すフィルムを効率的に作れる。あるいは、強化プラスティックの製造も可能となる。全く新しい金属材料が出来るかも知れない…。 機械メーカー時代のビジネスネットワークで、日商岩井で化学を扱っていた商社マン、原中正行と出会った。原中は筑波大時代、担当教授の赤阪健の元で、フラーレン等炭素系素材の研究をしていた。一年遅れて合流し、現在、ナノフロンティア社・副社長。その縁で、筑波大・赤阪研究室と共同研究を行っている。さらに、つくばの物質・材料研究機構とも共同研究を展開している。 工場を持たないファブレスで、研究開発に特化。製造の得意な会社とアライアンスを組み、販売ロイヤリティーをもらうビジネスモデル。「これが出来ました。誰か売ってもらえますか?では時間もかかる。これを作れば、売りますという会社とコンソーシアムとガッチリ組んで、最初から目標を持った製品開発をしたい」 共同開発契約を結んでいるモノが、現在、金属や樹脂で動き始めた。製品化までそれぞれ、数年かかる。「例えば樹脂フィルムしかやりませんとなると、リスクヘッジできない。 しかし、何でもやるとこれもダメ。コア技術であるカーボンナノチューブに特化した開発プロジェクトを何本か絞って立ち上げたい」。その資金を呼び込むために、ベンチャーキャピタルにプレゼン中。 商社連合とも言える、津田と原中のコンビで、古巣の商社ルートからも常に最新情報を仕入れている。 「トーメンの友人たちは、私が、起業したのを、スゴク驚いている。でも、彼らに会いに行くと、ドコドコの部は、今こういう動きをしているとの情報が入る。商社マンは、やはり、いろんな所にアンテナを張っている」から。 もともと仕切るのが好きだったから、社長になることへの抵抗は全くなかった。一九九九年まで水上スキーの日本代表メンバーで、学習院の水上スキー部のコーチも兼ねていたが、練習中に膝を大ケガ。腱の移植までしたが、五年前にドクターストップ。再び現役復帰を目指して、最近また少しずつ滑り始めた。 『カーボンナノチューブ商品化』の前に横たわる、ハイテクマーケティングの旗手ジェフリー・ムーアが唱えるところのキャズム(深い溝)を、津田の華麗なジャンプで、翔び越えることになるのか。(花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】東京都品川区大崎3の10の6の105。電話・03・3493・1201。研究所・筑波大学先端学際領域センター内、長野創業支援センター内。2003年10月30日創業。資本金600万円。カーボンナノチューブ(CNT)の加工。カーボンナノチューブ複合製品の開発・製品の販売。超微粒化装置を使用した受託実験・受託研究・受託加工。超微粒化装置の販売。 http://www.nano-frontier.com/ | |
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