![]() カルティオ 代表取締役・緒方泰子さん |
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「50カ国語翻訳」の秘密
株式会社カルティオ・代表取締役の緒方泰子は、九州大学の薬学部を卒業した後は、地元福岡や東京の大学の研究室で助手をしていた。同期生で薬品メーカーの研究者となっていた夫の転勤で、万博の数年前、まだ開拓地の余韻が残るつくばに移ってきた。 そして、「吾妻小学校のPTAの会合で、バッタリ、大学の後輩の前田佳子に声を掛けられた。娘同士が同級生だったの」だ。九大の薬学部は八十人ほどの小所帯。約半分が女子学生だった。その後、同社の取締役となったの前田佳子は、九大薬学部卒業後、筑波大の前身、東京教育大の化学の大学院に進み、さらに研究室ごと筑波大に移転して来ていた。福岡から遠く離れて利根川を北に渡った地で、十数年ぶりに再会した事の偶然性を考えると、二人で驚くばかりだった。 つくばに来てから始めた病院付薬局での調剤のアルバイトを続ける緒方は、ルーティンワークに少し飽きていた。一方、前田は、ポストドクター時代から、アルバイトで数々の技術翻訳を続けていた。そんな中で、つくば市内在中の女性たちで翻訳会社を作る話が舞い込み、二人で参画したが、考え方が合わず途中解散した。 二人だけでジックリ方針を練り直し、カルティオ社を設立したのが十年前。「量より質」を合言葉に、手堅く進めてきたおかげで、顧客は全国に拡がった。得意とするマイナー言語の仕事で、『日韓ワールドカップ』の際には、国際サッカー連盟(FIFA)から、クロアチア語やトルコ語など、参加国の言語マニュアル作りや講師派遣の発注を受け大忙しだった。 全国区の翻訳会社へと成長した、その成功の秘密は何なのであろうか。薬学部卒業生コンビの仕事振りを解剖してみた。創業当初は、原稿のやり取りは、全て宅配便であった。しかし、「途中で、インターネットが普及してきた事が大きかった。つくばの研究所でやった仕事が評価され、その会社の本社や全国の支店からも、論文の翻訳からさまざまの文書の技術翻訳が依頼されてくる。あるいは、筑波時代に発注してくれた人が、転勤先で再び発注してくれるケースも多い。今では、宅配便の締め切り時間を気にすることなく、Eメールでのやり取りが簡単にできる」ようになった。 ワーカーサイドを見ると、「つくばには優秀な理科系出身者が多いし、各国留学生たちは、卒業後、日本に定住し始めた。帰国したとしても、メールでやり取りしながら、翻訳を続けてくれている。一度お仕事をすると、本当に長い付き合いとなります」という。顧客は、日本国内が中心だが、その翻訳者の輪は、正にワールドワイドに世界中に拡がった。だが、「ホームページを持たず紹介による口コミだけで受発注業務を展開している」と人脈重視。 最近増えているのが、全国の地方自治体から発注される多言語の生活ガイドだ。「あらゆる自治体が、外国人対策に頭を悩ませている。ゴミの出し方から介護問題まで、日本語と英語だけでは済まされない。十五カ国語程度に翻訳してほしいとの依頼が多い」。 広々とした緒方たちのオフィスは、つくば市春日四丁目にある。筑波大に隣接し、通称『カスヨン』と呼ばれるこのエリアは、学生アパートの密集地帯。地の利を生かして、各国の留学生が、ここで翻訳の仕事をして、再び母国に帰っていく。そして、インターネットという文明の利器が、その国際的絆を断ち切ることなく、紡ぎ続けているのである。(花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】つくば市春日4の1の12。電話029・855・5656。ファクス029・855・9266。1996年3月8日創業。資本金1000万円。多言語翻訳(約50カ国)、学術論文等の技術翻訳、各国語プルーフリーディング(校閲)。 | |
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