ビジョンテック 代表取締役・原政直さん

空から地球を診る男

社会貢献度の高い会社づくりを目指す原さん
テロリストに標的を提供しているとして、『Googleローカル』のサテライトビュー機能が、物議を醸している。検索サイト『グーグル』で住所を検索すると、筆者が、今、原稿を書いている六本木七丁目のマンションの屋上を、隣の六丁目にそそり立つ六本木ヒルズとの落差も合わせて、空からハッキリ観察できる。とんでもない時代がやって来たものである。お天道さまだけが、我々の行動を観ているのではない。宇宙からの衛星データを、最新の軍事技術を駆使して解析すれば、十五センチまでもの地上物体の識別が可能だいう。

人工衛星などに搭載されたセンサーを使って、地表付近の情報を収集する技術を、『リモートセンシング』、略してリモセンという。株式会社ビジョンテック代表取締役の原政直(一九四五年生まれ)は、このリモセンの技術を使えば、「宇宙から、地球の二酸化炭素濃度すら、類推できる」のだそうだ。

そもそも、ハイテク商社の『丸文』で、医療機器分野からスタートした原は、当時、連続写真しか無かった医療分野に、『RIアンジュオグラフィー』とCTの技術を組み合わせた電子システムを開発して、時間経過を動きとして捉え、未来を予測することに成功。根治から予防へ考え方を発展させた。

医療技術開発が一段落した時、リモセンに担当が移ったが、その画像処理技術の蓄積を活かして、NASA関連の衛星データ解析技術の導入に力を入れた。丸文のセールスエンジニアとして、つくば支店をとまり木にして、国研の大所に独占的にその解析ソフトウエアの営業をしていった。

商品が、一通り行き渡った後、会社は別の商品を扱うことになった。ちょうどそのころ、規制緩和策で、気象情報を民間が扱えることになり、企業による気象情報提供サービスが始まった。元々、リモセンの重要なアプリケーションである環境や防災は、気象と密接な関係があり、それをどう取り込むかを考えていた所でもあり、タイミングよくウェザーニュース社との共同事業化の話がまとまった。

気象・環境・防災・農業・水産をターゲットに発展する分野だと信ずる、原や部下五人は、「リモセンの将来性を考えると、どうしてもこの世界に賭けてみたかった」。交渉を重ね、原チームの六人は、円満に、丸文からウェザーニュースへの移籍を果たした。ランドサットや、気象衛星ひまわりから送って来る衛星データは、それだけでは、使い物にならない。そこからが、原たちの仕事だ。テレビの天気予報で使われる地図を臨場感のある衛星画像にしたり、立体的に移動する雲画像を、次々と作っていった。

だが、一九九七年ウェザーニュースの上場計画に伴い、気象に特化するということで、リモセン部門を切り離した方がよいとの幹事証券会社からの意向で、結局独立を検討。六人が結束して動いた。

「もし失敗して、この年で再雇用は難しいが、本当にやるか?」と原は、問いただした。「ここでやらなければ、やる時はありません!」と他の五人が答えた。

ウェザーニュース時代、原たちの部隊は、TCIにあった。TCIを卒業して、さて、どこにオフィスを構えようかと思った時、「夜、丸文つくば支店のオフィスの前を通ったら、電気が全く点いていなくて、空いていた。原さんならいいよと、三階の半分だけ借りた」。最初に鳴った電話が、昔からのお客さんの研究者だった。注文書を持って、早速、オフィスにやって来てくれた。「他の仕事するなら別だが、元々、原さんを信用して、システムを買っているのだからと言われて、さすがにジンときました」。今では、精鋭スタッフは、十三人に。

社会貢献度の高い会社を作り上げたい。「宇宙から、人間が発する光の量を測定し、そこから二酸化炭素量を換算できるんです。都市の光をインデックス情報として、計算式を論文に発表しました。コロンブスの卵ですが、そこが、私達のアイディアなんです」と。

バリ島のウダャナ大学で、客員教授を務める原は、「意欲に燃えた三十人程の学生の質問に答えて、納得した表情を見た時、こういう仕事をやっていて良かったな」と思う。(花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

【会社概要】つくば市梅園2の1の16。電話029・860・6100。1997年9月創業。資本金2000万円。人工衛星から得られるリモートセンシングデータの解析・画像処理・応用技術開発・データ配布・データベース構築など。http://www.vti.co.jp/

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