![]() グリーンソニア 代表取締役・安本徹さん |
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「植物たちの夢」実現へ全力
五年間の充電計画を二年で切り上げ、丸の内の(独)産総研・ベンチャー開発戦略研究センターに通勤することを決断した。産総研ジーンファンクション研究センターの発見した、植物の転写に関わる遺伝子の発現を抑制する技術に惚れ込んだからだ。 株式会社グリーンソニア代表取締役・安本徹(一九四八年生まれ)は、「例えば、パルプ用材のポプラやユーカリのリグニンを減らし、パルプの原料となるセルロースを大幅に増やすことが可能となる、そうなれば高品質のパルプ用材を安く供給できる」と熱く語る。この技術が、人類にもたらすであろう、様々な恩恵を想像する中で、安本のビジネスマンとしての血が騒ぎ出したのである。 そもそも安本は、大学で化学工学を専攻して、石油会社に入った。当時石油の寿命は三十年といわれており、石油代替エネルギーの開発に関わりたいというのが入社の動機だった。しかし、ポスト石油の動きは、なかなか実現性が見えてこないなかで、技術提携先の米国のエクソン社に出向中に衝撃を受けたことがある。「当時のエクソンの会長が、『エクソンは、今後百年はハイドロカーボンを事業の中心に据える』、つまり百年間は石油などの鉱物資源を燃やし続けることを宣言した」わけだ。 「冗談じゃない、石油を突っ走らせちゃー駄目! 一つは、原子力。安全性の問題はあるが、地球温暖化防止の有力な方策だ。しかし、電気エネルギーは自動車用エネルギーとしては使い勝手がよくない。充電に時間が掛かり過ぎるのでエネルギーとしては万能ではない。ガソリンの使い勝手のよさには、かなわない。五分で給油できるガソリンとは違う…」 沖縄・伊江島で、アサヒビールが、サトウキビを栽培して、砂糖をエタノールにするナショナルプロジェクトが走っている。「若い技術者が引っ張っているので、がんばれと応援してやりたい」。グリーンソニア社の不稔技術や植物代謝機能制御技術を駆使し、「脂質や糖質分の多い植物を今までより短期間で栽培する事ができれば、石油製品と競合できる安価なバイオディーゼルやバイオエタノールなどを供給できる可能性がある」。将来は伊江島で一緒にやっているかもしれない。 転写因子抑制技術は、バイオマスへの応用だけではない。雄性不稔や完全不稔をうまく利用すれば、生殖に使われるエネルギーを成長に利用して早く育つ植物を作り出したり、芝刈りが少なくて済む低成長性で常緑の芝や消化性の良い牧草、乾燥に対して鈍感な耐乾性植物、地下水を汲み上げ、塩分濃度が高まっているが、塩に耐えられる耐塩性植物などの環境ストレス耐性植物の創出など応用の可能性は、無限に。 しかも、自身のライフワーク「環境問題とエネルギー問題両方やれるテーマ」だ。もちろん、すんなり開発できるほど甘いものではない。「死の谷」は必ずやってくる。東燃の新事業には一九八四年のバイオ部門の立ち上げからどっぷりとつかってきて、一九九九年には診断薬事業をMBOで独立させ、二〇〇三年での退任まで、安本は幾つもの地獄も見てきた。 「幸せとは、ストレスを感じない事」。小規模組織では、人間関係のストレスがモロ出てくる。「今回は、ノンストレスの状態で楽しくできそう。ここに来る事は、何の苦もない。選べたから…。必要なのは、品なんだな、品性とか品格。それぞれに少しはないとダメ」。『上品な人下品な人』(山崎武也著、PHP新書)が、今年売れているが、その内容の通りの話だ。「自分が達成できなくても、次に繋げることができるかどうかがベンチャーの使命」だと、安本は考える。社名のソニアは、イタリア語で「夢をみる」。植物達の夢も実現する。(花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略) 【会社概要】つくば市東1の1の1産総研内。電話029・861・2641。2005年12月創業。植物転写因子を抑制する技術を利用した機能性植物の創出に関わる事業。 | |
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