サンケァフューエルス 代表取締役・若林恒平さん

ひまわりが人類を救う

「バイオディーゼル元年」と位置付けた原油高の今年、問い合わせの急増にうれしい悲鳴を上げている若林さん
ソフィア・ローレンの不朽の名作『ひまわり』のタイトルバックに拡がる、ひまわり畑の映像を覚えている人も多いと思う。ハネムーンを過ごしただけで、引き裂かれた二人。マルチェロ・マストロヤンニ扮するイタリア兵アント二オを、ソフィア・ローレンが演ずるナポリ娘の新妻ジョバンナが、終戦後も帰ってこない夫を探すため、単身ロシアに足を踏み入れるシーンである。

第二次大戦をテーマにした、この反戦映画の舞台となるひまわり畑は、ウクライナのモノだと解説してくれたのは、サンケァフューエルス株式会社代表取締役の若林恒平(一九六二年生まれ)である。ひまわりの種から抽出した油を軽油に代わる燃料としてバイオディーゼルエンジンを動かそうとする若林の率いる筑波大発ベンチャー企業は、タイで広大なひまわりの自社プランテーションを持ち、映画よろしくひまわりの栽培を行っているのだと言う。

原油高の今年を、「バイオディーゼル元年」と位置づける若林は、各方面からの問い合わせの急増にうれしい悲鳴を上げている。

サンケァフューエルス社では、今年、つくば市内にひまわり油の精製用のパイロットプラントを建設する準備を進めている。ビルの一室程度の小規模なモノだが、筑波大の松村正利研究室が育んだ永年のノウハウが、盛り込まれた優れモノである。タイから持ち込まれる、バージン油を精製して、クルマのディーゼルエンジンに適した油に精製していく。

また、同じ原料から同社の開発した「SCF添加剤」を生産する。これを混入することにより、寒冷地でも油が流れる「流動点降下作用」と、エンストしにくくなる「低速回転時におけるトルク・動力の改善作用」が期待できる。

もともと、排水処理関連の会社に勤めていた若林は、筑波大の松村研究室に出入りしていた。独立してコンサルタント業を始めても、大阪の自宅から、情報収集も兼ねて、定期的に松村研究室を訪ねていた。ある日、松村教授から「居酒屋に誘われ、今回の大学発ベンチャーの社長就任話をされた」のである。エネルギー問題と環境問題を併せ持つ、人類的テーマに意義を感じた若林は、二つ返事で社長を引き受けた。

若林の言う通り、この会社のテーマは、まさに国家的である。京都議定書の発効に伴い、「炭酸ガス排出権取引」のビジネスが始まる。EU市場では、二〇〇五年から取引が始まり、排出枠を超えた、大企業や公共団体が買い取る排出権は、炭酸ガス一d当たり、四十ユーロ程度という。

同社は、タイや中国で軽油からひまわり油に切り換える事で生じる炭酸ガスの抑制効果分を、排出権として日本政府等に販売できれば、大きな副収入となる。

米国の穀物メジャー等は、トウモロコシからディーゼル油を作ることを計画しているようだが、ひまわり油の方が、はるかに性能が良いとのこと。太陽に向かって咲き誇るひまわりに、人類の明日のエネルギーを産み出す「太陽が育んだ燃料」があったとは、驚くばかりである。

「二〇一〇年には、五十万`gをバイオマスエネルギーに切り換えるというのが政府政策になっている。これば、ブーム的なビジネスではなく必然性がある」と、やりがいを語る若林は、バイオディーゼルのリーディングカンパニーを目指す。
 (花山 亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

【会社概要】つくば市天王台1の1の1筑波大学産学リエゾン共同研究センター309号室 松村プロジェクト内。電話029・853・5836。2004年6月24日創業。資本金・3245万円。環境問題となっている自動車等の排気ガスによる有害物質排出や地球温暖化を改善していくために、軽油に替わる燃料として、ひまわりの種から取った油を精製して使う等、バイオディーゼルの研究開発を行う。 http://www.suncarefuels.com/


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