メディアスティック
代表取締役社長・宮内淑子さん

メディア イズ マッサージ

メディアスティック代表取締役社長の宮内淑子さん
メディア論を確立したトロント大学のマーシャル・マクルーハン教授は、卓越したテレビ論で一世を風靡した。「メディアイズメッセージ」とは、ラジオをホットメディアと位置づけ、テレビをクールメディア、つまり世論を醒ますメディアとした。伝える中身より、伝えるメディアによって、影響の質が変わるというもの。

そのマクルーハンの名言の一つに、「メディアイズマッサージ」というのがある。テレビを見る事は、それは現代人にとって、マッサージを受けているように心地よいものだというものだ。

ネット環境もブロードバンド時代を迎え、ストレスが少なくはなってきた。しかし、まだまだ、さまざまな制約や操作の複雑さがあり、テレビを付けるようには行かない。この障害を取り除いて、いつでもどこでもネット環境をノーストレスで使いこなすことを求めて、筑波大発ベンチャーが立ち上がった。

メディアスティック株式会社代表取締役社長の宮内淑子は、元テレビキャスター。大学でコミュニケーション論を教えるかたわら、各分野の第一人者をブレーンとしてプロデュースし、独自のヒューマンネットワークを構築し、さまざまな問題解決に当ってきた。

とりわけ、兵庫県知事のブレーンとして広報専門官に就任した辺りから、宮内の持ち前の才能が大きくステップアップした。筑波大大学院・システム情報工学系教授の北川高嗣とも、宮内が組織する提言会で出会った。北川の研究成果を基に、「MSコード」(暗号化されたQRコード)を開発し、カメラ付携帯電話を使ってセキュアな環境でモバイルな人間を支えるインターネット事業を展開するメディアスティック社が誕生したのである。

例えば、雑誌やテレビに表示された「MSコード」を、携帯電話の付属カメラで読み取るだけで資料請求やショッピング、予約、決済、フィッシング対策等が簡単に実行できてしまう。

また、登録した個人情報は、「データージグーゾー」という同社の暗号化技術でサーバーに保管され個人情報の漏洩を防ぐシステムが連動している。「氏名、住所、電話番号、クレジットカード番号などの個人情報を要素ごとに分割・暗号化してデータベースに格納するシステム。しかも要素ごとに異なる鍵を使用しているため、万が一データが漏洩しても解読は事実上不能で個人情報は形成されません。情報セキュリティ大学院大学の辻井重男学長監修のもと開発されたデータジグソー。e―JAPANに採択され電子政府情報セキュリティ技術開発事業に採択された」という。

「生命体的情報環境」を標榜するというメディアスティック社は広尾にある。六本木ヒルズからテレ朝通りを下りて行く。有栖川公園を超えて、古風な良い味を出す広尾商店街からほど近いところに建つオフィスビルのワンフロアーを占めている。現れた宮内淑子は、バスケットボールの選手のように長身で、堂々としたその立ち振る舞いに圧倒された。

フジテレビが、ニッポン放送騒動の後にSBIと共に有望未公開企業に投資するために設立した「SBIビービー・メディア投資事業有限組合」の第一号投資案件として出資を受けている。資本金も三億円を超えた。

先週発表された「第二回つくばベンチャー大賞」では、特別賞「つくば・IT賞」を受賞したメディアスティック社。テレビキャスターから転じた宮内が、ハードなIT社会をもみほぐして、「ストレスの掛からない心地よい情報環境」を創り出してくれるか楽しみである。
(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

【事業概要】東京都渋谷区広尾五丁目8番14号9階 東京建物広尾ビル。電話03・5475・5015。 2000年6月8日設立。資本金3億4600万円。シンプルで高度な情報セキュリティ環境である「ITストレスフリーのユビキタス情報環境の創造」。メディアスティックの技術の基となったのが、メディア情報システムデザインを専門に研究する、筑波大学北川高嗣教授のモバイル・メタデータベース・システムのアイデア。このアイデアを拡張・発展させていく中で、数々の日本国内、米国、ヨーロッパおよび国際特許を取得・出願している。http://www.mediastick.co.jp/


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