せつた税務・不動産鑑定事務所
説田賢哉(せつた・まさや)さん

「自利利他」の精神

せつた税務・不動産鑑定事務所の説田賢哉さん
比叡山で天台宗を開祖した最澄の言葉である。他人のために尽くことが自分の喜び、これが仏教でいう「自利利他」の精神。経営者の顧問としての税理士に、最も相応しいモットーであろう。

ホリエモンの顧問税理士だった宮内亮治が最高財務責任者(CFO)となり、二人三脚であっという間にライブドアを築き上げ、そして崩壊させた。今では、激しい法廷闘争や暴露合戦の場外乱闘を繰り広げる両氏だが…。そもそも経理に詳しい税理士の宮内がいなければ、ホームページ作りをやっていた零細な堀江貴史が、短期間に巨大企業グループを作り上げることなどできるはずもなかったであろう。

税理士というものは、それほどに経営者に対する影響力があるものだ。「自利利他」の精神とは、しかし、相手を利すれば、やがて自分にも分け前が回ってくるといった宮内的単純理論ではないという。せつた税務・不動産鑑定事務所長の説田賢哉(一九六四年生まれ)は、「自利利他」の意味を、「相手に尽くすのは、自分自身の罪滅ぼし」だともいう。

説田がどんな「罪」を犯したというのか聞いてみた。説田の家業は、土浦駅の駅弁を手掛け、日本初のうなぎ弁当を作ったともいわれた『説田商店』であった。常磐炭鉱の石炭を首都圏に運ぶため、約百年前に常磐線が全面開通したころからの老舗で、説田が四代目を継ぐハズであった。

明治大学の商学部で学んだ後、土浦の実家に戻り『説田商店』に就職して、家業を手伝ったのだが、「駅弁造りへの情熱が、全く生まれなかった…」という。学生時代に、既に二科目合格を果たしていた税理士試験を受験するために、都内のコジンマリとした税理士事務所を探して、さっさと再就職したのである。

「厳しい経営環境の中で家業を守るために、さまざまな工夫を凝らしながら、必死で頑張っている経営者の姿を見ると、何の経営努力もせず、資格取得の道を選んで逃げ出した自分への自責の念が湧き上がる。顧問先の会社の事業成功のために何とか尽くしたいとの想いが募る」と、ほろ苦い青春時代を振り返る。

二十八歳で念願の税理士試験に合格し、更に翌年不動産鑑定士の試験にもパス。意気揚々と地元土浦に戻って事務所を構えた説田であったが、その年の年間売り上げは、わずかに四十万円しかなかった。(次回に続く)

「自利利他」の精神

(社)日本青年会議所の第一政策委員会委員長時代、沖縄でのフォーラムでスピーチする説田さん
そもそも税理士を目指したきっかけは? 「子供のころ、税理士の父の友人が、ウニやトロの入った高級寿司のおみやを持たせてくれたところから、税理士さんはお金持ちのイメージが刷り込まれていたのかも知れません」と、正直に振り返る説田。「コツコツと努力をすれば資格は取れます」。しかし、現実に顧客を獲得するのは、容易なことではなかった。

そんな時、不動産鑑定の特需が生まれた。筑波研究学園都市の国立研究機関が、独立法人化するに当たって、その敷地などの不動産の市場価値を確定する仕事である。いわゆる、路線価や地価公示のために市役所や税務署から来る仕事とは全く異なる仕事であった。

一息ついた説田は、地元の若手経済人が集う、JCつまり青年会議所活動に没頭した。最初は、地元企業との交流という軽い目的で参加した。そのうちに、日本を代表する典型的なシャッター通りとまでやゆされた土浦の駅前商店街の活性化など、街づくり運動に取り組んだ。そして、土浦青年会議所の一年交替の理事長に就任するに至った。さらに、(社)日本青年会議所に出向して第一政策委員会委員長まで務めた。

行政と一体となって進めた駅前商店街の活性化は、最近効果が出てきて、徐々にではあるが商店街が息を吹き返してきている。四十歳で青年会議所を定年となった説田の次のターゲットは、創業支援である。土浦・つくば地区を中心に定期的に会社設立のための無料セミナーを開催している。また、設立一年目の顧問先企業には、特別割引料金も設定した。

現在、JC活動で知り合った弁護士、社会保険労務士、司法書士たちと共に、法務マター専門の総合事務所を設立する準備を進めている。会社を起業して新しい事業を起こすにしても、株式公開まで持って行くにしても、商法から始まって、無数の「形式基準」をクリアしなければならない。

経営者が、そのつど、ワンストップで問題解決できるような体制を確立して、総合的に会社経営をサポートして行こうという試みだ。

「顧問先のメンター(精神的支援者)であり続けます。悩みをソリューション(解決)します。そして、元気お届け人であります」と、その独自の経営理念の全ては、最澄の教え「自利利他」に端を発しているという。

説田の地域に貢献する姿勢が、やがて全体の繁栄を呼び、厳しい経済環境を好転させることに繋がるのか。筑波町商工会の中興の祖、山口信太郎の遺した「百尺埋もれて肥やしと成れ」の教えを、久々に想い起こした。
(花山亘 つくばベンチャー協会事務局長、NPOつむぎつくば理事、敬称略)

【会社概要】〒300-0818、茨城県土浦市天川2―22―18、рO29―821―824。設立は一九九五年。事業は、決算診断(無料特典あり)、法人の決算診断。税務申告会計業務。相続コンサルタント、相続税試算サービス、既申告済相続税チェックサービス、相続税計算、相続税申告、相続税対策。金融機関融資相談。農業支援パックサービス。医業、歯科医支援パックサービス。新規企業支援サービス、起業創業支援。不動産鑑定業務。関東信越税理士会土浦支部、(社)日本不動産鑑定協会、(社)茨城県不動産鑑定士協会所属。 http://www.e-adviser.jp/popompoo/ 
所長日記(ブログ) http://blog.livedoor.jp/popompoo/

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