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経済評論家 久田昭一郎
「環境税」に幅広い議論を
役所の思惑も絡む
「環境税」(温暖化対策税)が今年秋の二〇〇四年度税制改正論議で焦点の一つになりそうだ。石油、石炭、天然ガスなど化石燃料から発生する二酸化炭素(CO2)は地球の温暖化をもたらす。そこで化石燃料を対象に新税を創設、税収でCO2など「温室効果ガス」の排出を抑制する施策を進める構想だ。しかし、新税は国内産業に打撃を与えかねない上、税収の使途をめぐる「役所の縄張り意識」も透けてみえる。

環境税は既に欧州諸国などで導入されている。日本で創設を目指す環境省は、化石燃料の輸入、精製といった段階で課税することを考えている。石油会社、商社、ガス会社などが納税する。税金は石油や石炭などの価格に転嫁されるが、価格が割高になることにより、「省エネルギー技術などの開発を推進する動機付けになる」と導入を主張している。

年末にかけて環境税が論議されるが、導入するにしても〇五年度からで、税率などは決まっていない。とはいえ、石油、石炭などの税込み価格が上がれば、コスト競争力が低下、鉄鋼業界は「製鉄所を中国に移転せざるを得なくなる」と反発している。また、石油関係税の見直しとセットで、今年度から「石油石炭税」を導入しており、「環境税を創設すれば二重課税だ」という反論にも説得力がある。

電気モーターとガソリンエンジンを併用するハイブリッド自動車は、優遇税制や政府などの補助で、購入時に実質二十七万円安くなる。環境税の税収を財源に「地球にやさしい」商品に対する補助を拡充すれば、普及も進む。動機付けの意味はある。ただ、日本企業は既に省エネを進め、低コスト体質にしている。「日本の鉄鋼業界のエネルギー効率は中国に比べ五割高い。CO2を多く排出する中国で生産するのは逆行だ」というのも理解できる。

環境税はペナルティーでなく、動機付け、政策誘導が目的。ハイブリッドカーはまだ高いが、トヨタ自動車は新型「プリウス」に縦列駐車のハンドル操作を自動化した装置を初めて装備した。「環境」でなく、「利便性」「操作性」で販売する戦略だ。また、ほとんどの企業はCO2排出量の抑制、産業廃棄物のゼロ化などに取り組んでいる。

現行制度でも「環境配慮」は進んでいる。経済産業省が所管する石油石炭税の一部は、環境省と共管しているが、環境税を創設すれば、環境省の事業、権限も増えそうだ。温室効果ガスの排出は一段と抑制する必要がある。税の創設には官庁中心でなく、国民的な論議が不可欠だ。



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