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経済評論家 杉田暁
メキシコと大詰めの交渉
「周回遅れ」日本FTA第2弾
九月五日付けの本欄で触れた世界貿易機関(WTO)のカンクン閣僚会議は、先進国と開発途上国の間の対立が解けないまま、決裂を余儀なくされた。もちろん、今回の失敗で貿易自由化の推進を目指す新ラウンドの決着が目標の二〇〇四年末から、大幅にずれ込むのは確実。この結果、各国は、通商戦略上の関心を二国間や地域間の自由貿易協定(FTA)にシフトしていくだろう。

FTAは、一部の例外を除いて締結国間の関税を撤廃するのが原則で、その代表例が欧州共同体(EU)と北米自由貿易協定(NAFTA)。また、ブラジル、アルゼンチンなど南米四カ国はメルコスル(南米南部共同市場)を形成し、米国やEUを巻き込んだ自由貿易圏の実現を模索している。アジアでは、中国と東南アジア諸国連合(ASEA)が、二〇一〇年にFTAを締結する方針だ。

このほかにも、世界各地で様々な自由貿易構想が存在しており、WTOの枠組みに頼る必要性は、薄れつつある。その半面、懸念されるのが世界経済のブロック化だろう。FTAで当事者間の貿易が促進されるのは当然だが、一方で外部の国・地域を排除する結果を招くからだ。

現在、日本のFTA相手国はシンガポールだけ。第二弾となるメキシコとの交渉は大詰めにさしかかっている。十月二十、二十一日にタイのバンコクで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合の直前に、フォックス大統領が日本に立ち寄り、小泉首相との間で基本合意する方向だ。

しかし、メキシコとの交渉は難航している。日本はカボチャ、メロンといった農林水産物二百五十品目の関税を三―五年で撤廃する提案をしたが、メキシコは、主力輸出品である豚肉をはじめ、乳製品、砂糖などが撤廃対象に含まれていないことに、強い不満を示している。十月六日から東京で行う事務レベル交渉で、メキシコとの溝を埋められないようだと、日本は、多国間だけでなく2国間でも貿易自由化交渉に失敗することになる。

FTA第三弾の相手国は韓国。APEC首脳会合時に開く日韓首脳会談で、交渉スタートが決まる見込みだ。それでも、欧米に比べると「周回遅れ」の感は否めない。各国が囲い込みを強める中、日本が貿易の優位性を失わないためには、次のFTA対象が中国やASEANとなるのは、地政学的にも自然だろう。

コメ輸出国である中国やタイを相手にした交渉は、メキシコとの交渉と比較できないほど難しいのは、言うまでもない。



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