|
| 今は昔の高貯蓄率 |
| 高齢化でカネ不足、目前
|
| 内閣府がまとめた経済財政白書をぱらぱらと、斜め読みしていて改めて思った。「なるほど、これは大変だ」。白書の類は、他の役所の政策を批判しにくいため、食い足りなさが残るが、考えさせられる指摘も多い。今回は、貯蓄率と少子高齢化の記述について、そう感じた。 日本の家計の貯蓄率は高いと言われていた。事実、一九八五年には16%近い水準で、米国の9%強はもちろん、ドイツの12%を上回っていた。それが二〇〇〇年度9・3%、二〇〇一年度6・6%と急降下し、10%を超すドイツ、フランスを下回り、4%程度の米国に接近している。米国の貯蓄率も、この十数年間で低下してきたのだが、そのピッチは日本の方が速く、近い将来、日米が逆転すると見られている。 八五年といえば、先に引退を表明した中曽根康弘氏が首相の座にいた頃。貿易摩擦が激しさを増しつつある時代で、首相自ら「輸入品を買おう」とキャンペーンに乗り出していた。その意味するところは、「日本人は貯金し過ぎ。もっと消費しよう」だった。 その政策誘導に従い、日本人は享楽的に稼いだ金をパッと使うようになったのか。あるいは、将来の不安がなくなったから、安心して稼ぎを消費に回せるようになったのか。いずれも違う。 貯蓄率が低下した理由の一つとして、経済財政白書は、少子高齢化を挙げている。高齢者世帯は、これまでに積み立てた貯金を取り崩して生活する傾向がある。人口に占める高齢者の比率が高まれば、否応なく貯蓄率は下がる。それでは、少子高齢化に歯止めを掛けることはできるか。それは無理な相談だ。 一人の女性が一生の間に産む子供の平均数を出生率と言う。この数値は、一九七〇年代前半に二・〇を割り込んで以来、緩やかに低下し、二〇〇二年度には一・三二と過去最低を記録した。楽観的なシナリオでも、現在18・5%の六十五歳以上の人口比率は、二〇二五年に30%弱、二〇五〇年には35%強に達すると推計される。 貯蓄率は、低下せざるを得ない運命にあるわけだ。それで何が困るかと言えば、よほど高い金利を付けない限り、国内の資金だけでは、民間企業の投資資金を調達できなくなるし、政府歳入の45%弱(今年度)を占める国債を消化できなくなる。 経済活力を引き出すのに必要な資金を国内で賄えなければ、海外に頼るしかない。外資は嫌い、などと言う贅沢を許されるのは、そう長いことではない。白書は、そう語っている。 |