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希薄なサービス意識
希薄なサービス意識
数年前のこと、手持ちのドル建てトラベラーズ・チェック(T/C)千五百ドル分(二十万円弱)をドル建てMMFで運用しようと考え、証券会社の支店を訪ねた。使う当てがないので、僅かでも金利を稼ごうという、みみっちい動機からだ。外貨建て投資信託を宣伝しているから、歓迎されるだろうと思った。

予想は外れた。いったん銀行で円に換えてくるようにと、丁重に断るのだ。そんなことをすれば、ドルから円に、円からドルにと二回も手数料を取られてしまう。文句を言うと、本店のドル口座に直接振り込むことは可能なので、銀行に送金を依頼して欲しいとのこと。ただ、手数料を浮かそうにも、直接、本店にT/Cを持って行くことはできないらしい。

この辺で、既に嫌になっていたが、一応、隣接する都銀の支店で、証券会社本店のドル口座への送金を依頼した。窓口の行員が差し出した用紙を見ると、ドルを円にしてから送金し、ドルに戻すという内容。怒りを抑えながら、「他には手数料は掛かりませんか」と聞くと、「少額ですが、○○金利(何と言われたか忘れた)をいただきます」―。

これは、外為法が改正されて街のレストランでも、外貨を受け取れるようになってからの出来事だ。取引を中止し、憤然と銀行の支店を後にしたのは、言うまでもない。ちなみに、外銀の電話サービスセンターに、ドル建てT/Cを原資にドル建て口座を開設する方法を問い合わせると、為替手数料はゼロだが、残金が一定額を下回ると、口座管理手数料を取ると、明快な答えが返ってきた。

この違いは何なのか、金融実務に詳しい大学教授に尋ねたところ、証券会社も銀行も窓口対応が間違っていた可能性があるという。日本の金融機関は物事を複雑にしがちで、欧米銀行の十倍以上の「ステップ」(窓口マニュアル)を持っている。とても覚えきれないため、変則的な顧客のニーズには、正しく反応できないケースがあるらしい。さらに教授はT/Cの額を聞くとニヤリと笑い、「そんな少額では迷惑だったんだろう。それが日本の大銀行や大証券だよ」―。

メガバンクは今、個人や中小企業向けビジネスに力を入れている。再生を目指す「りそな」は、いったん閉めた店舗のシャッターを午後五時から七時まで上げたり、窓口行員が立って接客したりする「当たり前の」サービスを実施・計画中だ。ようやく客商売の何たるかに気が付いたのだろうか、新聞記事を読んで数年前の出来事を思い出した。



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