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| モラルハザード克服の契機に |
| 足利銀行の破綻処理
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| 足利銀行が十一月二十九日、やっと破綻した。「やっと」とは不謹慎だが、外国通信社が「公的資金注入の可能性」を報じたのが十二日だから、十七日間も店ざらしにされていたのだ。 銀行の破綻処理は、秘密保持とスピードが必要不可欠とされる。政府と日銀は水面下で準備し、マスコミに嗅ぎ付けられた場合、迅速に行動・公表する。報道が、信用不安を引き起こしかねないからだ。 最近、銀行破綻は珍しくないが、一九九〇年代前半までは、「銀行不倒神話」が完全には崩壊していなかった。当時、金融関係者は、経営不振の銀行を話題にする際、「FH2O」といった符丁を使っていた。不用意な言葉が一般の人の耳に入り、預金者が銀行窓口に殺到する取り付け騒ぎを引き起こしてはならないとの配慮だ。ちなみに、Fの福徳、二つのHの兵庫と阪和はいずれも破綻。Oの大阪は、りそなグループ傘下で近畿大阪銀行として、経営再建に取り組んでいる。 週刊誌が「危ない銀行ランキング」といった大見出しを掲げている最近の状況は、隔世の感がある。足利銀行のケースで、当局がなぜ、処理を急がなかったかと言うと、預金がほとんど流出しなかったからだ。危機に麻痺していると言ってもいい。 預金者は、ともかくとしても、不思議なのは投資家の動きだ。足利銀行の持ち株会社の株価を振り返ると、金融庁の検査が終了した十一月十一日に九十円まで下落。外国通信社が公的資金の可能性を報じた翌日には、逆に百十一円まで上がり、さらに、米ムーディーズが十七日に格付引き上げの方針を示すと、二十五日に百二十一円まで反騰。破綻処理が決まる直前の二十六日になって、六十九円に急落した。 これは、何を意味しているのか。投資家が公的資金の注入は、公的な支援と受け止めたのだろう。「最後は、税金で面倒を見てくれる」と、高を括って株を買った人がいたに違いない。しかし政府は、りそなとは別の方法で足利を処理した。破綻の認定を下し、株券の価値をゼロにすることで、株主の責任を問うたのだ。この行政の方向は正しい。市場原理を唱えながら、お上に甘える。このモラルハザード(倫理の欠如)体質は、足利銀行の破綻を契機に改めなければいけない。 その一方で、行政対応が「りそな=再生」と「足利=破綻」に分かれたのか、はっきりしない。足利の株主が不満を持つのは当然だ。株主の甘えを許さない以上、金融庁は行政対応の基準を明確に示す必要がある。 |