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| 悪質メールで取り付け騒ぎ |
| 情報拡散速いネット社会の危険
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| 昨年十二月二十五日、とんでもないクリスマスプレゼントが佐賀銀行に届いた。経営不安を煽る電子メールが、地元の佐賀県を中心に広がり、預金を引き出そうとした顧客が本支店に詰めかけたのだ。デマと判明し、翌日にはいつもの平静を取り戻したのだが、ネット社会の危うさを印象付けた騒動だった。 「緊急ニュースです!某友人からの情報によると、二十六日に佐賀銀行がつぶれるそうです。預けている人は明日中に全額おろすことをお薦めします。一千万円以下の預金は一応保護されますが、今度いつ佐銀が復帰するかは不明なので、不安です。信じるか信じないかは自由ですが、中山は不安なので明日全額おろすつもりです!松尾建設は、もう佐銀から撤退したそうですよ!以上緊急ニュースでした!!素敵なクリスマスを」。 このメールが、不特定多数の携帯談話などに入り始めたのは二十四日の昼ごろ。これが転送されたり、口コミで伝わったりした結果、二十五日には佐賀銀行に問い合わせが殺到、支店によっては、三百人もの預金者が現金自動預払機(ATM)の前に列を作った。 松尾靖彦頭取は二十五日夕、記者会見を開き、メール内容を否定すると同時に、メールの差出人を氏名不詳のまま信用棄損罪で佐賀県警に告訴。金融当局も「悪質な電子メール記載のような事実は全くない。同行の経営内容、健全性、資金繰りはいずれも問題ない」とのコメントを発表し、事態の沈静化を図った。 お騒がせメールは、若者が好んで使う顔文字入り。文章も、この手の「文化」に慣れた者なら、まともに取り合わない書きっぷり。それにもかかわらず、なぜ多くの人を動かしたのか。 一つには、足利銀行の破綻を契機に、地銀の経営問題に過剰に反応しやすいムードが醸成されていた。二つ目には、一千万円までの元本と利子を保護するペイオフにも言及した点にある。二〇〇五年四月に全面解禁されるペイオフについては、一般人の間で理解が進んでいるとは言えず、「何となく不安」になった人が多かったのだろう。また、預金を下ろしにきた人のほとんどは、メールを受け取ったわけではなく、噂が広がる過程で真実味を増していったようだ。 一九七〇年代に、愛知県で通学途中の女子高生が友達に話した「あそこの信用金庫は危ないんだって」との一言が、取り付け騒ぎを起こした。インターネットに乗せれば、情報は格段に速く拡散する。我々は、便利さの裏に危険が潜む時代を生きている。 |