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| 綱渡りの「先手必勝作戦」 |
| 日銀が追加金融緩和
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| 日銀が一月二十日、追加金融緩和を決めた。と聞いても、ほとんどの人は「ふーん。それで?」と思うだけで、ピンとこないだろう。その反応は正しい。経済への影響は、限りなくゼロに等しいのだから。 今回の決定は、金融機関が日銀に預けている当座預金の合計残高の目標水準を「二十七兆―三十二兆円」から「三十兆―三十五兆円」に引き上げるという内容。日銀は、金融機関がこれまでより三兆円余分に、お金を持っていられるよう、金融機関から国債や手形を買ってあげる。金融機関は、そのお金を日銀に預ける仕組みだ。 何のために、日銀はこんなことをするかというと、景気を良くしたいからだ。銀行などの金融機関は、日銀に持っている口座から必要な資金をいつでも、自由に引き出すことができるので、企業や個人の取引先が融資を申し込んできたら、このお金を回せばいい。設備投資をしようとしているのに、お金を借りられないといった状態をなくし、経済を活性化させるのが究極の狙いだ。 でも、ちょっと待ってほしい。日銀が二〇〇一年三月に、金融の量的緩和に踏み切って以来、市場にはお金がじゃぶじゃぶ、あふれているではないか。やり方が手ぬるいから効果が出ていないのなら分かるが、そうは思えない。 当座預金残高の目標は、三年前の五兆円から一本調子に引き上げられてきている。それにもかかわらず、昨年のマネーサプライ(通貨供給量)は前年比1・7%増と、十年ぶりの低い伸びにとどまった。金融機関までは、お金が届くが、その先の企業活動、消費行動に結びついていない。 竹中平蔵金融・経済財政担当相は、実質成長率2%を実現した上で、マネーサプライが4―5%伸びれば、デフレを脱却できると見ている。だから、日銀に「もっと頑張れ」とはっぱを掛けている。 前の日銀総裁だった速水優氏は、こうした圧力に抵抗したが、結局は金融緩和をせざるを得なかった。格好良く見得を切った分、政府の怒りを買ってかえって追い込まれた印象が強い。今の福井俊彦総裁は、言われる前にさっさと、「日銀自身の判断で」金融緩和を実行している。前任者の轍を踏まないよう、矢継ぎ早に政策を打っている。 しかし、金融政策には副作用が付き物。量的緩和政策では、市場メカニズムが失われた。福井総裁は、その辺を分かっていて、あまり毒にも薬にもならない政策を連発している。政府との関係は好転したが、福井日銀の「先手必勝作戦」は、危ない綱渡りでもある。 |