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経済評論家 杉田暁
G7、為替めぐり虚々実々
協調の裏で国益対立
二月六、七の両日に米フロリダ州ボカラトンで開かれた先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、興味深い国際会議だった。記念写真に納まる各国の代表たちの笑顔とは裏腹に、日米欧が外国為替をめぐり、駆け引きを展開した。

G7は、各国政府の当局者が春、秋、冬の年三回集まり、為替や金融の政策を協議する場。一九八五年九月のプラザ合意(当時はイタリアとカナダを除いたG5)では、ドル高の是正が決まり、会議直前に二四〇円だった円相場は、一年余で一二〇円台に急騰した。

このように重要な会議なのだが、最近の注目度は今ひとつだった。それが再び脚光を浴びたのは、昨年九月のドバイG7から。固定相場制をとる中国を対象に、共同声明に盛り込まれた「為替の柔軟化」という概念が日欧に飛び火し、円とユーロがドルに対して上昇傾向を強めたのだ。

今回のボカラトンG7では、ドル安(円高、ユーロ高)に歯止めを掛けるのかどうかが焦点だった。採択された声明は「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは望ましくない」と、ドル安に警告を発する内容。日欧の主張が取り入れられたのだが、一方で「為替レートの柔軟性を欠く主要国には、さらなる柔軟性が望ましい」との一文も付け加えられた。

「柔軟性を欠く主要国」はどこか。日本政府の理解では、中国、韓国、台湾、タイがそれで、「日本は柔軟性を欠く国では全くない」(谷垣禎一財務相)。これに対し、トリシェ欧州中央銀行総裁は、アジアに複数あると述べた上で「柔軟性を欠く国は自分で分かるだろう」と思わせぶり。米国は、解釈はご自由にという態度だった。

日本は、ようやく回復軌道に乗りかけた景気に水を差す円高は困る。そこで、一月だけで七兆円を超える円売り介入を実施した。欧州は、ユーロの方が円よりも対ドル上昇率が高いため、日本の巨額介入に不快感を抱いている。ドル安のはけ口を欧州に向けるのではなく、日本も介入を止めて円高を許容しろという考えだ。

大統領選を控える米国は、産業界の反発を買うドル高政策を取れない。といって、日本の介入資金が米国に還流し、金利の上昇を抑えている現状を考えると、日本の為替政策を批判できない。だから、「過度の変動は望ましくない」との文章を容認した。

スペイン語で、「ネズミの口」という意味を持つ温暖のリゾート地ボカラトン。そこで繰り広げられたのは、国際協調を演出しながら、国益を極大化しようという虚々実々の通貨外交だった。



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