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経済評論家 杉田暁
当たらぬ「いいとこ取り」批判
新生銀行高値で上場
二月十九日に東証第一部に上場した新生銀行株式は、不良債権が少なく自己資本比率が高いとあって、八百円台の高い初値が付いた。一九九八年十月に日本長期信用銀行(長銀)が破綻してから五年四カ月。株式時価総額で、国内銀行六番目の銀行が「新」しく「生」まれた。

このように明るい話題なのに、素直に喜ぶ声はあまり聞こえてこない。ある大手銀行幹部は「あれだけ税金(公的資金)を入れて、外資が巨額の利益を得るのは釈然としない」と憮然とした表情だ。

一時国有化されていた長銀を買収したのは、米リップルウッド・ホールディングスを中心とする投資組合。一千二百億円を投資し、二千二百億円の株式売却収入を得ているから、既に差し引き一千億円の現金を懐に入れた。さらに、七千数百億円の価値がある株式を保有しており、今後の経営次第で、高配当と株式売却益を期待できる。

新生銀行への批判は、@長銀の破綻処理に日本国民の税金が使われたA新生銀行はドライに融資を回収する―の二点に集約できる。「いいとこ取りした上、やり方もえげつない」というわけだ。

確かに、投入された八兆円もの公的資金のうち三兆六千億円は、長銀の債務超過を埋めるために使われてしまい、戻ってこない。また、新生銀行の貸出残高は三兆五千億円と、破綻直前の長銀の四分の一。二〇〇〇年三月の譲渡時と比べても、半分以下に圧縮された。

新生銀行を批判する人が必ず持ち出すのは、企業の返済能力に疑いが強まったら、政府が肩代わりする「瑕疵(かし)担保条項」という特約。実際、新生銀行は三百二十一社、一兆一千七百億円の融資を政府に買い取ってもらった。ここから、税金を使って不良債権を減らすのは、けしからんという議論が出てくる。

しかし、当時、長銀の買収に手を挙げたのは外資ばかり。「日本の金融機関にノウハウやリスクを取る体力があったら(良かった)と思うが、残念ながら、なかった」(金子一義産業再生担当相)のが現実だった。しかも、不良債権に対する銀行の引き当てが低かった状況では、長銀の貸出債権を厳密に査定すると、金融システムの動揺を招く恐れがあったため、瑕疵担保条項などという不利な契約を結ばなければならなかった。

新生銀行は、現金自動受払機(ATM)無料化などの新しいビジネスモデルで、日本の金融界に新風を吹き込んでいる。過去の契約をぐずぐず言ってもしょうがない。外資の挑戦と、その刺激を前向きに受け止めたい。



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