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納税者の怒りを失うな
総額表示で薄れる痛み
つい先日、自宅の近所の中古車ディーラーに冷やかしで、入ってみた。早速、営業マンが飛んできて、熱心にセールスを始める。感じが良いので、しばらく調子を合わせていたが、買う気もないのに本気にさせては悪いと思い、逃げ腰になったら、「税金込みですから、前より高めに感じますが、値上げしていません」と、慌てて説明を加えた。

四月一日から、商品価格の表示を消費税五%込みの総額とするよう義務付けられた。例えば、これまで「九百八十円」の値札は、「千二十九円」に書き換えられた。消費税四十九円を足せば、レジで支払う金額は変わらないのだが、消費者の心理には微妙な影響がある。

カジュアル衣料のユニクロは、本体価格「二千九百円」プラス消費税百四十五円の合計三千四十五円で売っていた商品を、税込み「二千九百九十円」とした。表示価格は九十円高くなったが、実際には総額五十五円(本体五十二円)の値下げだ。値札が「二千円台」なら手が出るが、「三千円台」では買う気にならない、という消費者心理を読んだ戦略だ。

政府は「消費者にとって分かりやすくなる」と総額表示(内税化)のメリットを強調する。確かに、前もって心積もりをできるので、支払いにまごつく人が減り、スーパーでレジの列が短くなったという。とはいえ、小売業界の混乱を見ると、政府も罪なことをしたものだと思う。

もう一つ、自分がいくらの消費税を払っているか、見えなくなったのも大きな問題だ。一リットル百円程度のガソリンには、五十三円八十銭ものガソリン税が含まれている。それにもかかわらず、ほとんどの人は、税金を払っていると意識していない。消費税も、内税化されたことに伴い、同じような感覚になっていくのだろう。

税を払う痛み(痛税感)が薄れれば、増税しやすくなる。政府は否定するが、今回の内税化に、際限なく消費税を上げていこうという陰謀の臭いを感じる人は多い。

筆者は、消費税引き上げには賛成だ。しかし、その前に歳出削減と規制緩和にも、真剣に取り組んでもらわなければならない。公務員の給与と退職金は、倒産のリスクがないことを考えると高すぎるのではないか。役所には、機能していなかったり、民間に任せたりする方がいい仕事があるのではないか。

「こんなに税金を取っておいて…」という納税者の怒りがあるから、予算の無駄遣いにメスが入る。消費税の内税化により、その切っ先が鈍らないよう、気を付けたい。



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