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| 日本経済二律背反に直面
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| イラクでの邦人人質事件は、年頭の本欄でも指摘したように、地政学的リスクが顕在化した時のインパクトの強烈さを、まざまざと見せつけた。日経平均株価は下落し、外国為替市場では円が売られた。イラク問題が、ようやく本格回復の期待を抱かせている景気に、致命的なダメージを与えないよう、祈るばかりだ。 ということで、今後どうなるか、本当のところは分からないのだが、その後、相場が大崩れしていないこともあり、エコノミストの多くは、景気の先行きを楽観している。昨年十―十二月の実質GDP(国内総生産)が年率六・四%のプラス成長となったのは、「でき過ぎ」としても、輸出の推進力が設備投資、個人消費に波及し、主エンジンが回り始めたからだ。今後を占う上で、注目すべきは、GDPの六割を占める個人消費ということになる。 そこで気掛かりなのは、国民負担の増加圧力。年金保険料の引き上げ、配偶者特別控除の廃止などにより、日本総合研究所のリポートによると、二〇〇四年度に五千百億円、〇五年度に一兆三百三十億円の増税が実施される。その分、われわれが使えるお金(可処分所得)が少なくなるのだから、消費に良い影響があるわけがない。 それでもリポートは「〇四年度の消費の底割れは回避される」と予想している。その理由の一つが、高齢層の購買意欲の高さだ。 それによると、勤労者世帯の名目消費支出は、過去五年間で九%も減少している。これに対し、引退世帯の名目消費支出は、同じ期間、可処分所得が減っているにもかかわらず、ほぼ横ばいできている。財布の中身が薄くなっているのに、同じ額の買い物を続けているわけだ。このことは、現役時代の蓄えを削って、消費に回していることを意味している。 中長期的にも、お年寄りの購買力が景気を下支えしていくと期待していいのだろうか。確かに、シルバー市場はこれからの発展が望める。 しかし、ちょっと待ってほしい。一九八五年に一六%もあった日本の貯蓄率は、今や六%台に低下した。しかも、高齢化の進展に伴い貯蓄の取り崩しは、確実に進む。このままでは、必要な資金を国内で賄いきれなくなり、金利が高騰する恐れがある。その被害者は、これから住宅や教育ローンを組もうという現役世代だ。 景気の視点からすると、高齢者にもっとぜいたくに消費してもらいたい。だが、預貯金をあまり引き出されては困る。日本経済は、こんな二律背反に直面している。 |
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