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| 試される市場と政府
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| 日本の長期金利が、急速に1・8%近辺まで上がってきた。いわゆる長期金利の指標は、国債の中で、最も最近発行された十年物利付き国債(つまり償還はほぼ十年先)の、日々の流通利回りを仮の指標に置いて議論されることが多い。素朴には、市場で決まるこの流通利回り=長期金利が、日本の期待成長率を反映するとされ、金利上昇について問われた竹中平蔵経済財政・金融担当相が、「ポジティブ(積極的意味を持つ)サインだ」と応じたのは、期待成長率の高まりの反映だとの意味だろう。 だが、日本の先行きの成長期待が高まって金利が上がるというからには、要するに、企業はぼちぼち、銀行なり資本市場から資金を調達して、生産量を増やしたり、製品性能を飛躍させるための投資に乗り出す流れが出来てきたということだろう。少なくとも、竹中氏はそういうメッセージを発したということだ。 確かに、既に足元の設備投資は復活している。しかし、それはあくまで最終利益や減価償却費という手元資金(キャッシュフロー)の範囲内での投資再開であり、銀行から融資を受けてまで事業を積極展開する動きなど、ほとんど聞かない。素朴には、お金がひっ迫方向に動くからこそ金利は上がるのだが(貸し渋りや貸しはがしに憤慨する中小企業の声をしばらく別に考える)、いわゆる「マネーマーケット」の中核、「ジャパン・ガバメント・ボンド」(JGB=日本国債)が資金ひっ迫で換金売りに傾いているとの分析は、どこの誰からも聞こえてこない。 要するに、現在は、成長に向けた実体不明の「期待」が先行して市場金利が上昇している。市場参加者も人間だから、どのような期待も持ちうるだろうし、自分は期待していなくとも、多数が期待しているだろうから、自分もその流れに乗る、というのも決して少数派ではない。 よく、相場の世界で美人投票の例えが持ち出されるが、筆者の理解では美人投票には三段階ある。第一は、古典プラトン主義的なもので、例えばビーナスが絶対の「真実の美」であるなら、ビーナスに近い女性に投票する段階。第二は個性を重視する近代主義で、自分が美くしいと思う女性に投票する段階。今、問題になる美人投票論は、どの候補が最多得票を得るかを当てる投票で、当てた投票者に賞金が出るというものだ。それぞれの投票者が選んだ候補について、本当に美人だと思っているかどうかは関係がない。 かなり知的水準が高いはずの市場関係者の講釈に、どこか眉唾の気配が漂うのは、女性美の真実を追究するでもなく、また、自分一人でもその魅力に溺れ傷付いて構わないという、いずれの価値観、覚悟とも異なる、から騒ぎだからだ。 長期金利は、地政学リスク、政策リスクなど不測の混乱要因を考慮から外せば、いずれ、資金余剰の継続に見合う穏便な水準に落ち着くだろう。あえて注目するなら、財務省幹部が五月末に、六月以降の米連邦準備制度理事会(FRB)の政策をめぐって市場が右往左往する事態になれば、「一時的に1・8%くらいがあるかもしれない。そういう、市場が慌てている時に十年長期国債の入札が重なると、未達というような混乱があるかもなあ」。と語った。1・8%突破の気配を見せれば、痺れを切らした谷垣禎一財務相あたりから、けん制発言が飛び出すのではないか。 |
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