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| 1400兆円が動き出す?
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| 銀行への証券仲介業解禁を盛り込んだ改正証券取引法が成立した。「証券仲介業」とは、銀行が株式の販売そのものを行うのではなく、証券会社の「代理店」として顧客に株式や債券の取引を勧誘し、実際の注文が来たら証券会社に取り次ぐ制度で、年内にもスタートする見込み。大手銀行はグループ内に証券子会社や資産運用会社を抱えており、銀行の店舗に行けば預金や投資信託、株や債券を自由に組み合わせて資産運用ができる「ワンストップショッピング」が可能になる。仲介業解禁を契機に預金中心の個人金融資産に構造変化が起きれば、証券市場には相当の影響がありそうだ。 千四百兆円にも達する巨額な日本の個人金融資産。このうち55%、七百八十兆円は現金や預金が占め、株式はわずかに七十七兆円(5%)、投資信託にいたっては三十三兆円(2%)に過ぎない。一方、米国の場合は、現預金一割、株式三割、投信一割というのがだいたいの割合。個人の資産運用は、株・投信重視の米国、預金中心の日本という特徴が鮮明だ。株式市場は企業に投資資金などを供給する重要な機能を持つが、個人の資金がほとんど流れ込まない。 この状況を打開しようと、政府はこれまで証券税制改革など「貯蓄から投資への転換」のためのさまざまな手を打ってきた。銀行への証券仲介業解禁も、もちろんその一環だ。銀行が証券仲介を手掛けることで、どういう現象が起きるのか。 ―証券会社は、手数料稼ぎのために強引な取引を勧めてきたので投資家の信頼を失った。そもそも証券業界は、顧客の全ての資産運用を任されているわけではなく、投資に失敗しても構わない範囲の金額だけを取り扱っている。ところが、銀行は顧客の大半の資産を把握できており、証券会社より信頼は厚い。証券仲介を始めることで、銀行業界は「お客さん、来年からはペイオフが全面解禁されることもあり、預金の一部を株や債券、投信に振り向けませんか」という営業を展開し、個人金融資産の配分に大きな変化が生じる。その結果、証券市場に資金が流入し株価は上昇し、みんなが幸せになれる―。 ここまで楽観的ではないだろうが、政府の本音はこれに近いのではないか。仮に七百八十兆円の現預金の一割が株式市場に流入しただけでも、その影響は極めて大きい。東証上場株の時価総額は三百五十兆円程度だから、単純計算すると株価は二割以上値上がりする。証券界からは「この制度は例えてみれば、八百屋で魚を売るようなもの。お客はそんことを望んでいない」と懐疑的な声が聞こえてくるし、日本人の国民性からすると元本割れリスクのある資産への投資が一気に加速するとは考えにくい。 しかし、預金に集まる資金の量があまりにも巨大であるだけに、個人資産の配分を変える可能性がある銀行の証券仲介業参入は、中長期的には証券市場に相当の影響を与えると考えておくべきだろう。 |
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